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ノーコードでカンタンにWebページ作成!エン・ジャパンのkintoneでのCMS活用法とは

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エン・ジャパン株式会社は1983年に創業した人材採用・入社後活躍サービスを提供している会社です。日本最大級の転職サイト「エン転職」をはじめ、求人情報メディアや人材紹介サービスなど、30以上のサービスを手掛けています。従業員数は単体で1450人、連結で2928人(2022年3月末)となっており、事業所は東京の本社オフィスをはじめ、横浜、名古屋、大阪、福岡などに展開しています。

エン・ジャパンでは、2017年に制作部門においてkintoneを導入し、業務効率の改善を実現しました。2021年の「kintone hive tokyo」にも登壇され、事例紹介をされたほどです。コロナ禍でkintone活用が進み、なんと年間2万6000時間もの導入効果をたたき出したインパクトはとても大きいものでした。

今回は、「kintone hive tokyo」でプレゼンターを務めたエン・ジャパン株式会社 事業推進統括部 事業管理部 部長 高橋淳也氏にお話を伺いました。高橋氏はエン・ジャパンの主力事業である「エン転職」や「engage」に関する事業サイドの管理を行っています。事業管理部のメンバー数は50名以上で、3グループ体制を取っているそうです。高橋氏のミッションは、部全体の「人と業務」のマネジメント。加えて、「DX推進グループ」のグループマネージャーを兼務しています。

Excelが乱立し、ナレッジの共有が進まず、コロナ禍で紙ベースのワークフローがボトルネックになるといった企業課題を、エン・ジャパンはkintone×「フォームブリッジ」「kViewer」で解決しました。驚くべき情報共有の仕組みを構築した事例を詳しく紹介します。



非エンジニアが簡単に作成できるフォームツールを求めてトヨクモ製品を導入


エン・ジャパンは事業部制になっており、求人サイト部門には、営業部門、企画部門、制作部門があります。2017年当時、高橋氏は制作部でコピーライターをしていました。事業の成長に伴ってIT投資は行われましたが、ユーザー向けWebサイトや営業のSFAのアップデートが優先され、制作部門の優先順位はなかなか上がらず、情報の管理はExcelで行っていたそうです。

制作部門ではどのライターが何本書いたか、いつ書けるか、といった情報をExcelに記載していたのですが、繁忙期になるとアクセスが集中し、ファイルが壊れます。バックアップから戻すと、データが1週間前の状態に戻るといったトラブルも起きていました。

「『自分たちでなんとかしなければ』とツールを探し、kintoneに出会いました。トライアルで実際にアプリを開発し、これなら作れると判断し、導入を決めました」(高橋氏)

エン・ジャパン株式会社 事業推進統括部 事業管理部 部長 高橋淳也氏


導入はスモールスタート。制作部門の一部でkintoneのアカウントを購入し、利用を開始しました。しかし、業務によっては他の部門と連携することもあります。例えば、案件を獲得すると、営業部門から制作部門に社内発注が行われます。従来は、この連絡がすべてメールで届き、実績報告をするために関係者がExcelに手動で転記していました。転記が完了したら、またメールで完了報告を送る必要があり、何回も転記作業が発生していたのです。

kintoneアプリで処理できれば、転記がなくなります。ただ、営業部の人たちのアカウントはまだ用意されていません。仮にアカウントを準備できたとしても、「今、営業部にkintoneを使ってもらうのは無理だ」と感じていたそうです。営業部はすでに申込書作成ツールや内製のSFA、名刺管理ツールなど、多くのシステムを使わなければならない状態になっていました。この状態で、新たにkintoneを追加して使ってもらうというのは現実的ではありませんでした。

「営業部の本業は営業であり、商談です。新たなシステムを覚え、操作方法に慣れてもらうには負担がかかりすぎる。それなら、難しいシステムには見えなければいい。制作部が使う裏側をkintoneにして、営業部が使う表側を『普通のWebサイトのような見た目』にする。このために導入したのがフォームブリッジ(当時は「フォームクリエイター」)です」(高橋氏)

フォームツールの導入時には色々と他社製品も検討したそうですが、コードを書かなくても簡単に使える、というポイントが決め手となり、フォームブリッジを選んでいただけました。非エンジニアが仕組みを簡単に作って改修までできる、というところが必須条件だったそうです。

「無料のツールを頑張って使っても、トラブル時に困ります。うまく動かない時のトラブルシューティングに時間をかけたくない。非エンジニアでも確実にkintoneとつなげられて動作するという点で、フォームブリッジを選びました。普段見ているようなWebページが簡単にできて、これなら営業部のみなさんにも安心して使ってもらえると考えました」(高橋氏)


フォームブリッジで発注用のフォームを作り、無事営業部にも使ってもらうことができました。完了報告を送る際、営業部はkintoneアカウントがないのでメールで送る必要があります。このアクションもkMailerで送信することで、大きく手間を省くことができました。この経験で、高橋氏は「kintoneとトヨクモ製品があれば様々なパターンのシステムを作れる」と考えるようになったそうです。



kViewerを活用して、ノーコードでWebサイトを簡単に作成できた


エン・ジャパンでは、kViewerを活用して様々なシーンで目を見張るような活用をされています。すべては紹介しきれないので、今回は3つのアプリについて紹介してもらいました。

1つ目が、ナレッジマネジメントツールとしての活用です。例えば、PC操作の便利テクニックをまとめた「時短のレシピ」では、Excelのイライラを解消するようなノウハウを共有しています。

驚いたのが、見た目です。kViewerを利用して、kintone内のコンテンツを表示しているのですが、立派なブログのようなUIなのです。kViewerを使っているとは思えないほど、一見普通のWebページにしか見えません。

「kintoneのレコードにアイコン画像とタイトル、本文を入れておくと表示されるので、CMSとして活用して います。ブログシステムで構築すると敷居が上がってしまうのですが、kViewerだととても簡単に作れます。シンプルなページならCSSなども不要。デモ版は30分ぐらいで作成できました」(高橋氏)


「時短のレシピ」のページに掲載する内容を、kintoneアプリに登録します。


kViewerでレコード情報を表示している画面です。とても見やすくデザインされています。


他には「メールの図書館」では、営業が顧客企業に送信するメールについてのナレッジを共有しています。採用市況を説明する際のメール文面などを全員が個別に作ると大変なので、誰かの成功体験を全員で共有し、業務を効率化するのが狙いです。この図書館シリーズは他にも効果が出るスカウト文面を共有する「スカウトの図書館」、上手な営業トークをまとめた「トークの図書館」など横展開しています。

スカウトのノウハウを共有するアプリです。こちらも立派なCMSとしての活用です。


同じくkViewerで作った「ディレッジ」というサイトでは、取材を担当するディレクターに関するナレッジを共有しています。過去の採用事例とその成果を蓄積し、ノウハウとして活用しているのです。

「ディレクターたちが『自分たちはこんなにすごい仕事したんだ、と誇りを持てる素敵なサイトを作りたい』ということでkViewerで構築しました。社内のデザイナーにデザインを相談したところ、CSSを組んでもらえて、こんなに素敵なページに仕上げることができました」(高橋氏)

kViewerで作成した、採用事例のノウハウ共有ページです。


近年は、取引先や顧客とWeb会議で初めて会うことも多くなっています。紙の名刺交換ができないので、接点を作ったり、打ち合せのアイスブレイクなどが難しいと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

エン・ジャパンでは、オンライン名刺を用意して自己紹介をしているのですが、それもkViewerを駆使した想像を越えるものでした。取材に行くディレクターは、取材日が確定したら、自分のプロフィールページを送るのです。インタビュイーも、誰が来るのかわかっていると安心できますし、当日のコミュニケーションもスムーズに行えます。当然、取材がうまくいく可能性も高まることでしょう。

営業担当もオンライン名刺を活用しており、アポイントを取る際などに利用しています。ディレクターの名刺と比べるとすっきりしたデザインですが、写真も多用し、人となりを伝えられます。

ディレクターのオンライン名刺です。まさか元データがkintoneアプリ内にあるとは思えません。


営業担当が使っているオンライン名刺です。

kintone連携サービスでワークフローを構築して承認処理の自動化に成功


2つ目が「承認ワークフロー」アプリです。エン・ジャパンでは、営業担当が顧客から申込書をもらい、社内チェックを行うというワークフローになっています。以前は紙で行っており、上司が印鑑を押して「おめでとう」とねぎらうというスタイルだったそうです。

しかし、コロナ禍になってテレワークになると、メールで承認しなければならなくなりました。メンバーは上司にメールで申請し、上司がOKを出したら、そのメールをPDFにして管理部門に提出するという流れです。これは営業部門とバックオフィスの両方にとても大きな負担がかかりました。メールのPDFをいちいち全部開かないと、チェックできないためです。コロナ禍で業務量が減ったときは耐えられましたが、コロナ収束後の業務拡大時にはパンクすることが予想されていました。

システム化が必要ですが、このワークフローをkintoneでデジタル化するのは簡単です。しかし、ここでも「kintoneを意識させない仕組み」をめざしました。フォームブリッジとkViewerを連携させてシステムを構築したのです。

「自分の名前と承認者、CCで追加する人を、kintone上の人事データベースからルックアップして、商品や企業名を入力します。添付ファイルをアップロードしたり、電子契約サービスのURLといった関連情報も入れて、『確認』をクリックすると、上司に通知が飛びます」(高橋氏)」上司は通知メールのURLを開き、承認したり差し戻しをすればいいのです。


申請フォームから上長承認へのワークフローの流れです。


またkViewerで作成した進捗状況ページにて上長の承認状況を確認することもできます。コロナ禍でテレワークになっていても、オンラインで承認処理を進められるので、押印はいりません。

kViewerの進捗状況ページから、リアルタイムに進捗を確認できます。


「工夫した点は、なるべくその画面だけを見て操作を完結できるようにしたところです。営業側からすると、次に何をしたらいいのかとか、どこまで書いていいのか、と迷う時間は無駄です。そこで、kViewer上に補足説明を書いて誰もが見てすぐ確認できるようにしています」(高橋氏)



外部ライターとの請求業務でライター自身で請求書発行を実現


3つ目は外部ライターの請求業務です。「エン転職」では正社員のコピーライターに加えて、外部ライターにも専門研修を実施した上で原稿制作を依頼しています。個人との業務委託契約ですので、執筆後は請求書を出してもらう必要があります。この管理を以前はExcelとメールで行っていました。

外部ライターは多い時期だと数十名規模になるので、メールの処理が大変です。Excelで届いた請求書を全部開いて、発注履歴を全部目検でチェックします。その上、項目や金額がずれている、翌月の請求が誤ってきているといったミスは頻発します。作業量が多すぎて、支払いの経理の締めに間に合うかいつもギリギリ、という状態だったそうです。

「どうしたらいいのか考えた末、外部ライターが請求書を作らなくてもいい仕組みにしました。正確な請求書をこちら側が作成して、外部ライターにkViewerのMyページビューからプリントクリエイターを通してダウンロードしてもらい、電子印を押してもらいます。エン・ジャパン側の発注履歴アプリに入っているマスタデータを元に、請求書を作成するので、履歴と結果の突き合わせが不要です。外部ライターからしても、自分が報告した内容に沿った請求書が勝手に作られるので、手間がかかりません。関わる全員がWin-Winのシステムになりました」(高橋氏)


Excelとメールでのやりとりがゼロになり、負担が大幅に軽減されました。ミスも減りますし、余計な手戻りもありません。請求はお金が絡むことだけにミスがあると面倒な処理が発生します。そのようなムダを省けたことも大きな導入効果と言えるでしょう。

外注ライターの請求書発行は、ライター自身で発行が可能になりました。


kMailerも活用しています。例えば、原稿制作の案件管理システムでは、原稿をアップしたり、原稿に不備があって差し戻しする時などにメールを送信します。内容によって文面は変わりますが、いちいち入力するのは面倒です。いくつかのパターンがあるので、kMailerのテンプレートに登録し、手軽に進捗管理メールを送信できるようにしています。

制作側はkintoneを操作していますが、営業側からするとメールが届いているだけなので、裏側でkintoneが動いていると言うことを意識しないで使ってもらえているそうです。

最後に、今後の展望について伺いました。


「私たちは、まずアカウント数を絞ってkintoneをスモールスタート。トヨクモ製品を活用してWebページなど『kintoneの外側』にシステムをつくりました。そこからkintoneの活用が進み、今では事業部全員分のkintoneアカウントが用意されています。それでも、全部kintoneの内部で無理やり完結しないようにしています。『Webサイトのように見せたい』というニーズは継続してありますし、逆に明確になってきています。ナレッジマネジメントや外部連携を行う際に、フォームブリッジやkViewer、kMailerのように『kintoneの外側』に出せるものがあることによって、僕たちの選択肢が広がっています。kintoneが1人1アカウント体制になったら、トヨクモ製品をそんなに使わなくなるのかなと思っていたのですが、今でも大活躍しています。今後もフル活用していきたいと思っています」と高橋氏は締めてくれました。

エン・ジャパンがkintoneを導入してから5年、コロナ禍でkintoneアプリによる業務改善を推し進めた結果、2020年度だけでも年間約2万6000時間の業務時間削減に成功したそうです。改めて数値で見ると驚くべき導入効果です。


kintone導入から5年、年間約2万6000時間の削減に成功しました


これまでご紹介したように、kintoneとフォームブリッジ、kViewer、kMailerを組み合わせれば、非エンジニアでも実現できます。似たような課題を抱えている企業にとってはとても参考になる事例といえるでしょう。