弁護士法人シーライト藤沢法律事務所様 

活用事例

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  • 業務内容:交通事故や相続全般、労働災害、労働問題など企業の相談
  • この記事で使われているトヨクモ製品:FormBridge、PrintCreator
  • URL:https://crflo.com
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紙文化が根付く弁護士事務所が、kintoneとプリントクリエイターで年間190時間の作業時間を削減


弁護士法人シーライト藤沢法律事務所は、交通事故や労働災害、相続、企業法務といった領域を得意としている弁護士事務所です。2015年に阿部貴之弁護士が独立開業し、現在は弁護士が3名、スタッフが9名となっています。モットーは「依頼者の良き伴走者となる」で依頼者に寄り添った活動を行っています。

阿部氏は当初からシステムで業務を管理したいという考えは持っていたそうで、kintoneを導入したのですが、日々の業務が忙しくほとんど触れませんでした。そこから、kintoneの担当者にも協力してもらい、紙とExcelの業務をデジタル化しました。しかし弁護士業務では印刷しなければならないこともたくさんあります。そこで、「プリントクリエイター」を導入していただくことになりました。

今回は、たくさんの紙を扱う弁護士事務所が、ペーパーレス化と効率的な印刷システムを構築した経緯と効果について、弁護士法人シーライト藤沢法律事務所 関真保氏と上原 多佳江氏にお伺いしました。

弁護士法人シーライト藤沢法律事務所 関真保氏と上原 多佳江氏

紙と郵送物を扱うことが多い弁護士業務をkintoneで効率化


kintoneを導入したものの活用が進まなかったため、2016年秋頃、関氏に声がかかりました。入社する際には「kintoneを使って業務管理をしてもらいますが、大丈夫ですか?」と確認されたのです。それまでWebに関する業務を行ってきた関氏は、kintoneのような使いやすいシステムなら問題なくできるだろう、と考え設定を始めました。

「まずは簡単なお客様の名簿アプリを作成しました。その後すぐにkintoneに備わる機能の充実さがわかり、一連の業務の流れをすべてkintoneに集約することにしました。弊所は法律事務所なので、例えば事件を受けてから解決までの流れを把握していない状態で適当なアプリを作るわけにはいきません。そのため3ヶ月ほど、事件に関連する業務を手伝わせてもらいました」(関氏)

業務に携わってみると、課題が浮き彫りになりました。当時の運用は驚くほどの紙文化だったそうです。顧客管理では一部Excelを使っていましたが、その他多くの業務を紙で対応していたようです。顧客から電話がかかってくると、まずはファイルが保管されている棚に走って行き、電話口の方の名前が書かれたファイルを探すことから始めていました。

電話がかかってきたら、兎にも角にもファイルを探しに走っていました。


最初はkintoneをアプリ化するにあたり、事件を軸にするか、人を軸にするかを悩んだそうです。業務を手がける中で、事務所が管理するお客様情報には4つのステップがあることがわかりました。電話で問い合わせをしてきた人、面談をした人、受任した人、解決した人です。そこで、人を軸にしてそれぞれのステップごとに一連の流れを進められるようアプリを作成しました。

kintoneの操作にはまったく迷わず、トラブルなく開発できたそうです。kintoneを導入後はすべて棚で保管していたファイル情報を、顧客管理アプリに登録することにしました。kintoneで顧客情報を管理するようにしたことで、紙で保管するファイルを探す作業から解放されました。電話がかかってきたら、まずはkintoneで検索できるようになったのです。

kintoneアプリ上で顧客情報を管理しています


もう一つの課題は、大量の郵送物でした。法律事務所はどこもそうですが、多くの書類を発送する業務があります。kintoneを導入することで事件の進捗はkintoneアプリで確認できるのですが、手紙を送る際はExcelで作ったひな形に相手の名前を転記して、書類を作成していたのです。担当者は一日中、郵送物の作業にかかりっきりといったこともありました。

kintoneには最新の氏名や住所が入っているのに、封筒に宛名を印刷するための宛先シールの情報は古いままということもあり、二度手間も発生していました。最終的に、ミスを防ぐために送付書の宛先や宛先シールの記載などをダブルチェックして発送するのですが、この手間も大きかったそうです。

「もしkintoneから直接印刷し、窓付き封筒で送ることができれば、kintone内の情報が反映されるため、シール作成の手間やチェックの手間を大きく削減できます。新しいサービスを導入する場合、今までは現状維持を推奨する声が大きかったのですが、今回は所員みんな導入に前向きな姿勢でした」(上原氏)

関氏は当初、スクリプトを組んで直接PDFを出力するような仕組みを作ろうと考えましたが、技術的に難しいうえ、汎用性も低くなりそうなので却下しました。そこで、プリントクリエイターを使うと、どのくらい業務を削減できるかというプレゼン資料を作って阿部氏に見せたそうです。「資料を見せたところ、これだけ効率が上がり、ミスも減るならと好印象でした。」(関氏)

窓付き封筒にすることでkintoneから直接書類を印刷できるようになりました。

印刷業務を効率化したことで年間190時間もの時短を実現した


もっともプリントクリエイターを活用しているのが、「交通事故案件管理」アプリです。案件の依頼者や被害者、保険会社、加害者、加害者の保険会社、病院など、様々なところに手紙を出すことがあります。契約書のようなものはWordで作成しますが、委任状や診療情報開示申請書や文書作成依頼書などの定型書式のあるものであれば、すべてプリントクリエイターで出力するようにしています。自由に文章を書ける汎用的なテンプレートも作っています。

ユニークだったのが、kintone内の情報を引用する必要のない印刷物も統一してプリントクリエイターで出力している点です。プリントクリエイターはkintone内のデータを引用して出力するのが基本ですが、顧客に渡すマニュアルをPDFとして登録し、何もせずそのまま印刷するようにしているのです。普段利用しているクラウドストレージを探し回るより、必要な時にぱっと出力できるように工夫したのです。

プリントクリエイターの設定画面を拝見したところ、約180項目が登録されていました。複数枚帳票機能も活用しているので、帳票の種類としては少し減りますが、それでも約150種類の帳票が登録されていました。驚きの活用です。


必要な書式をすべてプリントクリエイターに登録し、手軽に利用できるようにしました。


窓付き封筒はそれまで使っていた封筒よりも少し価格が高くなります。そのため、コストパフォーマンスが上回ることを証明するために、効果を計測したそうです。その結果、1案件で送る郵送物に関わる作業時間は平均57分20秒の削減となりました。1年間で約200案件受任しているので、トータルでは190時間以上の削減効果が得られました。人件費に換算すれば、とても大きな導入効果と言えるでしょう。

お気に入りの機能を伺ったところ、お二人ともアップデートで追加・改善された機能を挙げていただきました。

「窓付き封筒の所に印刷する宛先はぴったりと納める必要がありますが、当初は調整が面倒でした。それが、アップデートしてくださり、随分改善されて使いやすくなりました」(関氏)

プリントクリエイターは、気づくと色々なアップデートがあり嬉しいです。特にありがたかったのは、アプリ間を跨いで帳票をコピーできるようになったことです。業務では、交通事故や労働災害といったジャンルごとにアプリが分けられていますが、本人宛の手紙や親御さん宛の手紙など、必要な情報が似ている部分もあります。以前は全部手作りだったのですが、今は1クリックでコピーできるのが最高です。本当に嬉しいアップデートでした」(上原氏)



バラバラに受ける問い合わせ受付をフォームブリッジで1つに集約


2022年8月には「フォームブリッジ」も導入していただけました。シーライト藤沢法律事務所では、会社のホームページとは別に案件の領域に合わせて5つのホームページを運営しています。それぞれのホームページから、バラバラに問い合わせがくるのですが、その問い合わせメールへの返信チェックにも時間がかかっていました。案件の場合は問い合わせ内容をkintoneに転記する作業も発生します。そこで、問い合わせフォームをフォームブリッジで構築することにしました。



「5つのホームページで複数のメールアドレスを用意していたので、問い合わせメールの管理が大変でした。フォームから入力してもらうだけでkintoneに登録されるので、複数アドレス宛に届くメールの管理がなくなりました。これだけでも随分管理が楽に、より正確になりました」(関氏)

また、面談で来社した顧客には個人情報や相談内容を紙に書いてもらっていたのですが、ここもタブレットを渡してフォームブリッジに入力してもらうようにしました。可能な限り項目から選択入力できるようにしておけば、紙に書くよりも顧客の手間を省くことができます。

「EAP(弁護士による従業員支援プログラム)では、顧問先の従業員全員からの相談に乗るというサービスを行っています。そういった契約をしている顧問先に、フォームブリッジで作成したフォームをお送りすることで、問い合わせが直接kintoneに入るようにしました。顧問先様専用のページなので、カスタマイズ感も出せるので良いことずくめです」(関氏)


最後に、今後の展望について伺いました。


「手紙がとにかく多いので、プリントクリエイターが業務の中心にあるような感じで仕事をしています。今後は、Wordで作っているような文書もなんとか整理してプリントクリエイターに組み込もうとしています。すでに、脱Wordが進んだひな形もあり、常に移行の視点を念頭に置いていこうと思います」(上原氏)

「トヨクモ製品がありがたいと思うのは、導入効果に比べて費用がとても安い点です。フォームブリッジの導入時はいろいろ比較検討したのですが、群を抜いて安いと思いました。今後は、外部にkintoneの情報を公開できる「kViewer」も導入して、お客様が自分の事件の進捗を自分でいつでも確認できるようにするなどの改良も思い描いています。我々の進捗管理と同じような目線で、今の状況を理解する橋渡しができれば、双方にメリットがあると思います」と関氏は締めてくれました。

取材時期:2022年9月
※ 事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります