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かながわ災害情報連絡会様

災害時の情報共有にkintoneを活用、災害ボランティアの受付業務を5分から10秒に短縮!

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かながわ災害情報連絡会は災害時にICTを活用して情報共有するための仕組みを研究したり、そのシステムを普及させる活動を行っている任意団体です。

2011年の東日本大震災の甚大な被害から復興を進める中、被害に遭った受援者と支援者、そして自治体などが情報を共有し、協力することの重要性が認識されました。そこで神奈川県民センターでは、2014年7月から「ICTを活用した災害ボランティア情報収集交換に関する研究会」が開かれ、神奈川県と県民が協力して災害に備える「神奈川モデル」を構築することになりました。

約1年半にわたって勉強会が開催され、終了した2016年、その県内メンバーを中心として立ち上げたのが「かながわ災害情報連絡会」という枠組みです。「かながわ災害情報連絡会」そのものは任意団体ですが、主要メンバーは各地の災害ボランティアネットワークやNPO法人などで活動している人たちです。

以前は、各種電子マップの利用、Twitterを使った情報の受発信、収集した情報のマップ化などをメインに行っていましたが、2020年からはkintoneを活用し、災害ボランティアの募集とマッチングの実験を進めています。災害発生時、kintoneを活用してスムーズな情報共有を行い、効率的に被災者を支援するための仕組みを構築しているのです。

今回は、kintoneとトヨクモ製品を組み合わせ、災害ボランティアセンターで活用するためのアプリを開発した経緯をかながわ災害情報連絡会の皆さんに伺いました。

(左から)かながわ災害情報連絡会副代表 辻川和伸氏(所属団体 横浜市瀬谷区災害ボランティアネットワーク副代表)

副代表 吉田見岳氏(所属団体 葉山災害ボランティアネットワーク 副代表)

副代表 伊藤朋子氏(所属団体 認定NPO法人かながわ311ネットワーク代表理事)

監事 江尻哲二氏(所属団体 横浜市泉区災害ボランティア連絡会副代表)


災害時にセキュリティが必要な情報を共有するためにkintoneを活用


災害時には正確な情報共有が重要になります。Twitterは災害時に重宝されるツールですが、共有される情報は全世界にフルオープンされてしまいます。災害現場の情報ならいいのですが、支援に向かう災害ボランティアの個人情報を扱うのには向いていません。

「不特定多数からの情報を集めるのがTwitterだとすると、特定少数のセキュリティを確保したやりとりをするkintoneと使い分けることにしました」(伊藤氏)


kintoneを提案したのは伊藤氏です。伊藤氏が代表理事を務めている認定NPO法人かながわ311ネットワークでは、以前からデータの管理にkintoneを導入しており、災害時に役に立つ仕組みにも活用できるのでは、と考えたそうです。

災害ボランティアとは、災害が発生した時に、被災者を支援する個人や団体のことです。社会福祉協議会が自治体と連携して災害ボランティアセンターを設置し、いざというときに備えているのです。

「阪神淡路大震災が起きた1995年はボランティア元年と呼ばれています。130万人くらいのボランティアさんが訪れたのですが、神戸に来ても一体どこでどういう活動をしたらいいのかよくわからない、という状態になりました。そこで生まれたのが、災害ボランティアセンターという仕組みです」(辻川氏)


当初は、紙の申込書でボランティアを募集し、被災情報も電話やFAXで集めていたそうです。アナログ管理なので情報共有は進みませんでした。データ処理できないという課題が浮き彫りになり、ICT技術を使えないかと考えるようになったそうです。

kintoneを伊藤氏から紹介され、2020年1月から使い始めたのですが、同時期に新型コロナウイルスが広まり始めました。以前は神奈川県民センターに集まっていたのですが、今年はずっとオンラインで会議を行うようになったそうです。

「かながわ災害情報連絡会」では災害時のICT活用を研究、発表をしています。


フォームブリッジで募集しプリントクリエイターで登録簿を作りkMailerで一括送信する


kintoneで構築したのは災害ボランティアと被災者のマッチングアプリです。支援依頼を出したい人がいて、一方で支援したいという人がいるので、そこを仲介するという実験を行いました。そんな中、情報収集のためにkintoneの勉強会コミュニティである「kintone Cafe」などに参加し、トヨクモ製品のことを知ったそうです。

「2019年10月に長野県の千曲川が氾濫しました。その支援のために、1日に3000人近くのボランティアさんが集まったらしいのですが、その募集をkintoneとフォームブリッジで実現したというのです」(辻川氏)


そこで、かながわ災害情報連絡会でもフォームブリッジのWebフォームで募集をかけるアプリを作成しました。まずは、条件分岐機能を使い、同意項目に同意してもらうようにしました。ボランティア参加後、新型コロナウイルスに感染したら連絡することや同行した人が感染した場合に情報を行政に提供するといった内容です。同意すると、氏名や連絡先などの入力フォームが開きます。

フォームブリッジで作成した災害ボランティアの応募フォームです。


活動希望日にチェックを入れてもらい、回答してもらうと、そのデータがkintoneに登録されます。管理側は希望日の中から来て欲しい日を決定し、メールで連絡するのです。その際も、トヨクモ製品が活躍しています。

「コロナ禍なので3密を避けなければいけません。災害によっては数千人規模のボランティアさんが集まることもあります。そこで、集合時間を分けました。そして、現場で素早く処理するためにQRコードで手続きできるようにしました」(吉田氏)


活動希望日から来てもらう日を決めたら、kMailerで依頼内容を送信する。


来てもらう日時を指定したら、プリントクリエイターで「ボランティア登録簿」というPDFファイルを生成し、kMailerでメールに添付して送信します。登録簿にはボランティアの氏名や連絡先、保険の有無などが記録されています。さらに、プリントクリエイターの機能でQRコードを付けており、受付時にQRコードリーダーで読み込むだけで参加受付の確認ができるようにしました。

手軽に受付できるようにボランティア登録簿にQRコードを付けました。


今後は、オリエンテーションの動画をYouTubeで公開し、事前に見てもらうようにするなど、災害ボランティアセンターの業務を更に効率化することも必要と考えています。

基本的には、kintoneのデータは関係者しか閲覧しません。しかし、ボランティアの集まりが悪い日などの情報を広報し、ボランティアの参加を促すことも可能です。そんな時は、kViewerを利用して表示しています。

kintoneとトヨクモ4製品をしっかりと活用した事例ですが、災害ボランティアや管理側は迷わず操作できているのかが気になるところです。

「私が理解できないようなアプリなら、どこのボランティアセンターでも使えないだろうということで、まずは私が使っています。分からないときは吉田さんに質問しながら使っていますが、概ね問題なく操作できています」と江尻氏。現場での活用が進むように、使い勝手にもこだわっているのは流石です。



災害ボランティア1人当たりの受付時間を30分の1に短縮できた


以前は、大きな災害で多くのボランティアが集まる場合、情報連携がうまくいっていないため、来ていただいてもやっていただくことはありません、と断る失礼なことも起きていたそうです。kintoneとフォームブリッジで事前受付をすることで、このようなトラブルを減らすことができます。

業務効率化も実現しています。以前のようにボランティアの募集を紙で行うと、1人当たり少なくとも処理に5分以上はかかっていました。この作業をフォームブリッジを導入することで、ボランティア自身に入力してもらえば、QRコードを読取る10秒ほどに短縮できるようになります。

「2000~3000人のボランティアさんが来る場合、作業時間は延べ約170~250時間かかるところが、約6~8時間で済むことになります。kintoneとトヨクモ製品を使うことで、大幅な作業時間の短縮になります。これは、ほんの一つの例で、積み重ねることで効率化を図っていこうとしています」(辻川氏)


人海戦術で当たっていた業務をICTでスマート化した、まさにコロナ禍におけるお手本のような導入効果と言えるでしょう。

最後に、今後について伺いました。


「実際に災害ボランティアセンターを運営するのは、社会福祉協議会という組織です。kintoneとフォームブリッジやkViewerなどの使い方を、その職員さんに理解してもらわなければなりません。災害時に急に使ってください、と言っても普段使っていないツールだと戸惑ってしまいます。今、普段の業務の中で、フォームブリッジが使える用途を探してもらっています。コロナ禍の影響でICT化の機運が盛り上がっているので、この機会に災害ボランティア運営にもkintoneとトヨクモ製品の活用を広げていこうと思っています。できれば災害ボランティア団体が平時から使えるような支援プログラムがあれば良いのですが。」と辻川氏は語ってくれました。