トヨクモkintone連携サービスで医療DXを推進!患者さまの満足度アップに配慮した歯科医院の活用事例
院内業務のDX化に積極的に取り組んでいるいけもり矯正歯科では、患者さまや院外とのコミュニケーション時にkintoneとトヨクモkintone連携サービスを活用しています。
予約受付や診療時間外の連絡受付、診療申込書や事前問診票の作成など、従来は電話や紙で行われていた業務をデジタル化することで、患者さまの利便性向上、スタッフの業務負荷軽減を実現しています。
また、「Webフォームから24時間問い合わせられる」「診療時間外の問合せに対応している」ことへの安心感を患者さまに提供できるため、結果として他院との差別化に成功。患者さまのアクセスビリティが向上することによって、当院への質問や要望を伝えやすくなり、不満が生じにくくなります。その結果、初診患者数の増加にも寄与しています。
本記事では、いけもり矯正歯科 院長 池森由幸様よりお話を伺いました。
kintonexトヨクモkintone連携サービスにより、患者さまとの円滑な情報共有を実現
同院が従来使用していたオンプレミス型のシステムは、ローカル環境やイントラネットでの運用には適していましたが、院外からのアクセスが難しく、リアルタイムでの情報共有が行いづらい状況でした。また、直感的な操作ができず、院内での利用も非効率的だったと言います。
こうした課題を解決するため、池森氏は、患者さまや院外の関係者との情報共有をWeb経由で行えるシステムの導入を検討。直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性を備えたシステムがふさわしいと考え、kintoneとトヨクモkintone連携サービスのFormBridge、kViewer、PrintCreatorを採用しました。
池森氏はトヨクモ製品を選んだ理由について、日本語対応の国産の連携サービスであることと、迅速かつ丁寧なサポート体制が決め手だったと話します。
「トヨクモさんを高く評価している理由の一つは、些細な問い合わせにも丁寧に分かりやすく対応していただける点です。その姿勢は素晴らしく、私自身が歯科医院で大切にしている患者対応の考え方とも通じています」(池森氏)
現在、kintoneとトヨクモkintone連携サービスは予約受付や診療時間外の連絡受付、診療申込書、事前問診票の作成などに活用されており、業務効率の向上だけでなく、サービスの質向上にもつながっています。
この一連の取り組みにより、同院は、患者さまのニーズを汲み取り、結果として他院との差別化を図りつつ、自院の運用に最適化したシステムを構築しました。
「医療機関では、システム開発に時間がかかることを敬遠し、既製品のシステムや、既存のシステムをそのまま使い続けることが多いと思います。確かに既製品のシステムやアプリは「見栄え」が綺麗で、最先端のような感じがしますが、各医院の状況に応じたカスタマイズを行うのが難いというのが難点です。自院の特徴を出したり、患者さまの利便性や満足度の向上を図るためには、kintoneやトヨクモkintone連携サービスのような、状況に応じてシステムを柔軟に構築できるツールを活用することが重要なのではないでしょうか」(池森氏)
満足度向上、初診患者数増加に成功したトヨクモkintone連携サービスの活用事例5選
kintoneとトヨクモkintone連携サービスにより、医療DXを推進している同院。
院外のコミュニケーションを効率化するとともに、患者さまの満足度と利便性の向上を実現しています。具体的な活用事例を4つ紹介します。
活用事例①カウンセリング予約受付フォーム(FormBridge)
同院では、FormBridgeを活用して予約受付フォームを作成し、ホームページにiFrameで埋め込んでいます(※)。この仕組みにより、患者さまは24時間いつでもWebから予約を申し込めるようになりました。患者の利便性が向上しただけでなく、電話対応の回数が減少し、スタッフの負担軽減にも繋がっています。
このような予約申し込みシステムは、医院や美容院、飲食店向けに多くの既製品が提供されています。しかし、多くの場合はスケジュールと連動し、申込者に空いている時間帯を直接提示して予約を取っていただく仕組みが一般的です。
この方法では、予約申し込み自体の効率は向上しますが、予約内容によっては同じ時間帯の他の予約や、作業状況を考慮することが出来ません。この配慮を怠ると、患者さまの多様なニーズに対応することが難しくなる恐れがあります。
▲FormBridgeで作成したカウンセリング予約受付フォーム。口内の写真など、診察時の参考となる画像も添付できるようになっている
※FormBridgeの全コースにおいて、別のサイトにフォームを埋め込むためのiframeコードを自動で生成できます。詳細はこちらをご確認ください。
活用事例②診療時間外の連絡受付(FormBridge・kViewer)
「急に歯が痛みだした」「矯正歯科器具が外れてしまった」など、患者さまが困る事は診療時間を問わず発生します。実際に、医療機関の調査でも、診療時間外の対応が患者満足度に大きな影響を与えることが明らかになっているようです。
同院では、かつて診療時間外の連絡先として池森氏の携帯電話番号を案内していたこともあったそうですが、深夜に電話がかかってくることもあり、対応に苦慮していたそうです。
そこで診療時間外の問い合わせを、外部のオペレーターサービスとkintone連携サービスで対応するフローへ変更しました。オペレーターは事前に共有している対応マニュアルに基づき、24時間体制で電話対応をします。
オペレーターは問い合わせ電話を受けると、その内容を対応マニュアルに沿って選別して、FormBridgeで作成したフォームに受付内容を記入し、クリニックへ報告します。緊急性の高い案件はクリニックの担当者へメールで通知が届くため、特に問題が深刻そうな案件の場合には、即応性を考慮して「事前に決めた」順番に従って、院長の携帯、副院長の携帯、各々の自宅と言った順番でオペレーターが直接電話連絡を入れて早期対応を促します。そのやり取りは、メール内に記載されたkViewerのURLから問い合わせ内容を確認できる仕組みを整えています。
▲FormBridgeで作成した、オペレーター向けの時間外受付報告フォーム
▲担当者へ届くメールのイメージ
▲受け付けた内容を一覧で確認できるkViewerのリストビュー
▲kViewerで表示したレコードの詳細画面。緑色の「編集する」ボタンから、FormBridgeのフォームを通じて対応状況等の進捗を更新できる
「24時間体制で患者さまの問い合わせに対応できるようになったことで、患者さまの不安や不満が減って満足度が向上しています。
ただ、問い合わせ数が増えると、オペレーターの雇用コストも比例して上がります。そのため、今後はIVR(AI電話応答サービス)を活用し、文字起こしした音声データをkintoneに連携する方法を導入したいと考えています」(池森氏)
活用事例③診療申込書、事前問診票の作成(FormBridge・PrintCreator)
以前は、患者さまが来院後に診療申込書や問診票を記入する運用方法を取っていましたが、この方法では受付の回転率が下がり、患者さまにも待ち時間が発生してしまっていました。
そのため、現在は診療申込書や事前問診票をFormBridgeでWebフォーム化し、ホームページに埋め込んでいます。
また、受付では、初診予約を受けた患者さまに事前問診票入力フォームへのリンクをメールで送付し、来院前に入力してもらう仕組みを導入。初診来院時には既に患者さまの情報が医院管理システムに登録されているため、初診相談担当医師にはフォームの内容を紙に印刷して共有していました。
さらに、今回の医院改装では、紙に印刷して渡す工程を省き、院内管理システムに直接表示できるように改修しました。これにより、患者さまは来院前に必要事項を入力できるため、受付時の待ち時間が大幅に短縮され、受付担当者の作業負担がより軽減されました。
▲FormBridgeで作成した診療申込書フォーム
さらに、電話で受け付けた内容もフォームへ登録するフローに変更したことで、手書きのメモやkintoneアプリへの転記作業が不要となり、受付担当者の業務負荷が軽減されました。
また、PrintCreatorとの連携により、フォームから登録されたデータをその場で帳票として出力できるようになり、受付業務がさらに効率化されました。
活用事例④学会運営の効率化(FormBridge・kViewer・PrintCreator)
池森氏は、関係する学会・医会や講習会等の運営においてもkintoneとトヨクモkintone連携サービスを提言しています。
まず、医会で実施する「矯正歯科何でも相談」の受付フォームを、FormBridgeで作成しました。このフォームでは、誤入力されたメールアドレスや、捨てアドレス等を使ったトラブルを防ぐため、仮登録フォームと本登録フォームによる2段階構成(※)を採用。
仮登録フォームに必要事項を入力した後、記載のメールアドレス宛に確認メールが送信されます。そのメールに本登録フォームへのリンクが記載されており、これをクリックすることで本登録に進むことができる仕組みです。
※仮登録、本登録に分けてフォーム入力をしてもらう活用方法の詳細については、こちらをご参照ください。
▲FormBridgeで作成した「矯正歯科何でも相談窓口」の仮登録フォーム
▲「矯正歯科何でも相談窓口」の本登録フォーム。ステップフォームを利用し、設問項目を複数ページに分けて表示することで、設問数が多くても回答しやすく、進捗も視覚的に分かりやすくなるよう工夫している
また、講習会の講演者から事前に抄録、写真、配布資料などの情報を収集するフォームもFormBridgeで作成しています。収集した情報はPrintCreatorでPDF化し、抄録集の製本用データとしてまとめているそうです。
「これまでは抄録集を一から業者に依頼して作成していましたが、PrintCreatorの導入により、製本用データをワンクリックで作成できるようになりました。出力したPDFデータはそのままオンデマンド印刷サービスで注文できるため、リードタイムとコストを大幅に削減することができました」(池森氏)
▲FormBridgeで作成した、抄録や写真、配布資料をアップデートするフォーム
▲上記フォームで収集した情報から、PrintCreatorで出力した抄録
また、収集された情報は管理者や担当者向けにkViewerを通じて共有されています。これまでは収集した情報をメールに添付して共有していましたが、該当するURLを共有するだけで情報連携が可能となり、効率的な学会・勉強会の運用が実現しました。
kintone、トヨクモkintone連携サービスを活用し、患者ファーストの医療DXを進めていきたい
同院は、kintoneとトヨクモkintone連携サービスの導入により、患者さまや院外の関係者とのコミュニケーションを円滑にし、業務効率化を実現しました。池森氏は、今後の展望について次のように話します。
「診療時間外の問い合わせに対して、状況を丁寧に直接伺って『その状態であれば緊急性はありませんので、明日の早朝にお時間があれば拝見しますが、いかがですか?』と一言伝えるだけでも、患者さまの不安は和らげられると思います。これからも安心して当院を利用していただけるよう、kintoneとトヨクモkintone連携サービスを活用しながら、サービスの質向上に努めていきます。
また、現在kintoneを単体で使用している院内の労務管理や業務の進捗管理についても、トヨクモkintone連携サービスを導入することで使い勝手を向上させ、さらなる業務効率化を図りたいと考えています」(池森氏)
記事公開日:2025年1月6日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります