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株式会社近畿情報産業 様

煩雑なExcel管理を卒業!紙の使用量60%減、月30時間の業務時間減に成功したトヨクモkintone連携サービス活用事例


オフィス機器やシステムの提案を行う株式会社近畿情報産業。同社は紙文化が根付いており、情報管理や共有に手間がかかるだけでなく、書類紛失のリスクや保管スペースの圧迫など、さまざまな課題を抱えていました。

この課題解決のため、2023年にkintoneを導入し、業務のデジタル化とペーパーレス化を実現。これにより、大幅な業務改善に成功しました。

さらに、トヨクモkintone連携サービスを活用することで、書類作成の効率化やDM送信による新たな案件創出など、業務プロセスを一層強化しています。

本記事では、株式会社近畿情報産業 管理部 緒方美姫様よりお話を伺いました。

kintone導入により、業務のデジタル化、ペーパーレスに成功

1965年の創業以来、同社では長年紙文化が根付いており、紙の帳票ならではの検索性の悪さや紛失のリスク、増え続ける書庫のスペースに課題を感じていました。また、帳票の原本となるExcelのシートは、社員1人1人がローカル環境に保存したうえで使用していたため、徐々にフォーマットが改変されてしまい、後の申請業務に支障をきたしていたと言います。

特に、毎月1人あたり40枚にも及ぶ営業報告書の作成、印刷、保管には人的リソースだけでなく、物的リソースにも大きな負担がかかっていました。

▲当時の事務所の様子。紙の書類が綴じられたファイルが所狭しと並んでいた

このような状況を受け、業務改善を図るべくSFAツールを導入した同社。しかし、操作が難しかったり、入力項目を柔軟にカスタマイズできなかったりと、なかなか現場にフィットせず、継続利用を諦めざるを得ない状況でした。

そこで注目したのが、SFAツールの導入時に比較対象としていたkintoneです。

「自分達で業務アプリを作成できるなら、SFAツールの課題をクリアできるのではないかと思い、無料お試し期間を経てkintoneを導入しました。私はシステムに精通しているわけではありませんが、SFAツールでの経験を活かしながら、1ヶ月ほどで社内にアプリを展開できるようになりました」(緒方氏)

kintone導入当初は、スケジュールやタスクの管理、ワークフローなど、簡易的なグループウェアとしての機能を持たせるためのアプリと、案件管理アプリに絞って運用を開始。徐々に業務のkintone化を進めていきました。

中でも業務改善の効果が大きく現れたのは、営業報告書の作成、印刷、保管です。kintoneの案件管理アプリを作成したことで、営業報告書を紙で出力する必要がなくなり、情報の一元化と、リアルタイムでの案件管理に成功しました。また、営業報告書に添付していた仕入伝票に関しても、複合機で読み取った情報をkintoneへダイレクトに登録できるSpeedocV4を活用することで、これまで手作業で行っていた転記が不要になりました。

▲案件管理アプリ。各案件の売上やフェーズを一目で把握することができる


また、案件管理アプリ上のデータと連携した予実管理アプリを作成することで、Excelへのデータの転記、関数の設定等が不要になり、予実管理に伴う業務の大幅な工数削減に成功しました。

こうしてkintoneにより業務改善が進んでいく中で、「副次的な効果もあった」と緒方氏は当時を振り返ります。

「kintoneで業務アプリを開発するにあたって、各部署の業務内容を理解するために詳細なヒアリングを実施しながら、業務内容の洗い出しや業務フローの見直しを行いました。その中で様々な議論が発生したのですが、他部署の社員も含めて擦り合わせを繰り返していくうちに、部署間の垣根が低くなり、結果的に全社的な連携が強化されたように思います」(緒方氏)

残されていた書類作成の課題を解決するために、PrintCreatorを導入

しかし、同社ではkintone導入後もExcelで帳票を作成していたため、kintone上のデータをExcelへコピー&ペーストする手間や、レイアウトの不自由さに課題を感じていました。

そこで同社は、複数のレイアウトを1つの帳票に結合できる点や、複雑なフォーマットにも対応できる点に魅力を感じ、PrintCreatorを導入。

紙での送付・保管が必要な帳票を除く全ての帳票において、作成、出力、承認の一連のフローがkintone上で完結できるようになりました。これによりExcelで作成する帳票は無くなり、課題だったフォーマットの属人化も解消され、取引先からは「綺麗で見やすくなった」と好評を得ているそうです。

▲案件管理アプリのレコード詳細画面。右上の「出力」ボタンをクリックすると、PrintCreatorによって帳票が出力される

▲PrintCreatorで出力した見積書

結果として、同社はkintoneとPrintCreatorの導入により、紙の使用量が約60%削減され、紙の保管に使用していた書庫のスペースも半減しました。

▲kintone、トヨクモkintone連携サービス導入後の事務所の様子。

ビル内の改装により事務所面積が半分程度になったにも関わらず、社内から紙の書類が減り、すっきりと整頓されている
さらに、案件管理や帳票作成に伴う業務が効率化されたことで、営業担当者1人あたり約30時間/月もの業務時間を削減することができたと言います。

工数の多い業務をワンクリックで完結!PrintCreator、kMailerの活用事例4選

その後、同社はメールでのDM配信を目的にkMailerを、kintoneのバックアップを取るためにkBackupを導入しました。

「メールサービスを選ぶ際に、ファイルを添付できること、開封ログを追えることを条件としていたので、これらのニーズに合致するkMailerを導入しました。また、当時は既にkintoneが業務に欠かせない存在となっていたので、これまで蓄積してきたデータを保護できるようkBackupも併せて導入。実際に誤って削除してしまったレコードを復元したこともあります」(緒方氏)

kintoneとトヨクモkintone連携サービスを活用し、さらなる業務改善を図っている同社。
ここからは、具体的な活用事例を紹介します。

【活用事例①】依頼書や登録票の出力(PrintCreator)

同社ではOA機器を納入する際に、複数のkintoneアプリとPrintCreatorを活用しています。
まず、マシン手配アプリに基本情報や納入先情報を登録し、関連する帳票を出力します。

▲マシン手配アプリ

大型機器を納入する場合もあるため、納入先のエレベーターの有無や駐車場に関する情報も記載できるようになっている

▲PrintCreatorで出力したマシン手配依頼書

その後、kintoneのアクション機能で利用している「RJ 登録票を出力する」ボタンをクリック。マシン手配アプリとは別の登録票作成アプリへジャンプし、登録票を出力します。あえて別アプリに遷移させることで、各フローの履歴が残るように工夫しているそうです。


▲マシン手配アプリからジャンプした先の登録票作成アプリ。マシン手配アプリで登録した内容に一部追記をし、登録票を出力する

▲PrintCreatorで出力した登録票。変則的なフォーマットの帳票でも、レイアウトが崩れることなく出力できる

【活用事例②】見積書(PrintCreator)

前述した通り、PrintCreatorでは複数のレイアウトを1つの帳票に結合することが可能です。
同社ではこの機能を活用し、1ページ目と2ページ目以降で異なるレイアウトを登録。合わせて「テーブル行数条件分岐(※)」を設定することで、明細の行数に応じて適切なページ数、レイアウトが自動的に選択される仕組みを構築しました。
※テーブル行数条件分岐の設定方法については、こちらをご参照ください。

▲PrintCreator「テーブル行数条件分岐」機能の活用例

これにより、案件管理アプリのレコード詳細画面からワンクリックで見積書を出力できるようになりました。
そして、他の発注書や出金伝票も同様に、kintoneアプリからワンクリックで帳票を出力できる環境を整備。手作業による手間や転記ミスが削減され、業務の効率、正確性ともに向上しました。

【活用事例③】顧客へのDM一斉配信(kMailer)

同社では、kMailerを活用して顧客宛のDM作成・送信業務を自動化しています。

メール本文は登録済みのテンプレートから選択するだけで作成でき、宛先ごとに可変する箇所については、kintone上のデータが自動的に反映されるため、手入力することなくDMを作成・送信できるようになりました。

▲kMailerのメール作成画面

同社はアドレス帳に「DM送らないフラグ」を設定することで誤送信を防止しています。一斉送信先を設定する際に宛先をソートできるため、1件ずつ宛先を確認する手間が省けました。

また、宛先ごとに可変する{{会社名}}や{{氏名}}はkintoneに登録している情報が自動で反映されるため、例えば​​100件に送信する場合でも、100通りの宛名を1クリックで作成することができます。

▲送付先を管理するアドレス帳アプリ

【活用事例④】保守対応レポートの出力から送付(PrintCreator+kMailer)

同社では、OA機器の保守対応を行なった顧客に「保守対応レポート」を提出しています。従来は紙で出力したレポートに顧客がサインをする運用方法でしたが、kintoneとPrintCreator、kMailerによって、一連の業務をデジタル化することに成功しました。

まず、ITサポート依頼書アプリに必要事項を入力します。その後、顧客にkintone上で手書き
でサインをしてもらい(※)、PrintCreatorで保守対応レポートを発行。
「メールを作成する」ボタンをクリックするとkMailerが立ち上がり、出力したレポートが添付されたメールをその場で送信することができます。
※当該機能はkintoneのカスタマイズが必要です。カスタマイズはサポート対象外です。

▲ITサポート依頼書アプリ。保守対応レポートの作成、出力、送信に伴う業務を1箇所で完結できる

同社がkMailerを導入したのは、取材時のわずか3ヶ月ほど前。直感的な操作と優れたカスタマイズ性により短期間で業務に組み込むことができ、業務効率化の向上も実感しているとのことです。

kintoneの基幹システム化も視野に入れ、現場目線で業務改善を続ける

緒方氏は、kintoneとトヨクモkintone連携サービスの活用を通して、さらなる業務改善を目指しています。現状はkintoneを営業支援ツールや社内業務の効率化に活用していますが、将来的には基幹システムそのものをkintoneへ移行することを構想しているそうです。

「現在使用している基幹システムは、高額な維持費やWindowsのアップデートの度に発生する更新費用など、コスト面での課題を抱えています。kintoneを基幹システムとして活用することができれば、これらのコストを削減できるだけでなく、kintoneならではの柔軟性、拡張性を活かして、より現場思いの職場環境が実現できると考えています」(緒方氏)

基幹システムのkintone化は、緒方氏にとって新たな挑戦となります。しかし、kintone導入からわずか1年で社内のデジタル化を進めてきた経験を活かし、現場の視点を大切にしながら、業務改善に取り組んでいく考えです。

記事公開日:2024年12月2日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります