【東急株式会社】市民開発事務局の工数を50%削減! 運用効率とガバナンスを両立させた、現場主導のFormBridge・kViewer活用
企業紹介
交通事業、不動産事業、生活サービス事業をはじめ幅広い事業を展開
2025年2月に従業員自身がデジタルを活用して業務改善を進める「市民開発」を実現するため、「市民開発事務局」を組成。あわせて、kintone、kintone連携サービスの活用を開始
2026年3月、FormBridge・kViewerの「編集者」機能リリースと同時にユーザーライセンス導入
課題
FormBridge・kViewerの活用拡大に伴い、フォームやビューの修正依頼が月100件以上に。市民開発事務局の稼働の約30%を占有
市民開発事務局への修正依頼に現場の遠慮が生じ、業務改善のスピードが低下
他組織のフォームやビューの修正に関する誤操作や、想定外の情報公開などのリスクを防ぐため、現場に管理権限を付与できなかった
解決策
ユーザーライセンスを導入し、扱えるフォームやビューを絞った「編集者」ライセンスを市民開発事務局が選定した現場メンバーに付与
セキュリティ設定を組み込んだテンプレートと、安全な運用のために必要な情報を集めた専用スペースを用意し、提供
効果
現場が自らフォームやビューを作成、改善できるようになり、市民開発事務局の稼働工数を50%削減
市民開発事務局への依頼や修正待ちが減り、現場・事務局双方の心理的負担を軽減
監査ログ機能により、誰がいつフォームやビューを修正したか確認でき、安心して運用できる環境を実現

1,500人以上の従業員を抱え、交通事業、不動産事業、生活サービス事業をはじめ幅広い事業を手がける東急株式会社。同社では、市民開発を支援・推進する専門組織「市民開発事務局」(以下、「事務局」)を設置し、kintoneとトヨクモのkintone連携サービスを軸に、従業員自身がデジタルを活用して業務システムを構築・改善する取り組みを進めています。
『kintone』『FormBridge』『kViewer』の利用が順調に拡大していく中で、現場のkintone活用を伴走支援する事務局には、フォームやビューの作成・修正工数の拡大という新たな悩みが生まれていました。
現場にFormBridge・kViewerの管理権限を移譲すれば工数削減はできるものの、セキュリティや運用ガバナンスを考えると不安が残る。今回は、このジレンマを打開し、運用ガバナンスを保持しながら事務局の工数を50%削減することに成功した方法について、同社事務局の千野氏、蕪木氏のお2人にお話を伺いました。
▲デジタルプラットフォーム ITソリューショングループ 市民開発事務局の千野 陽太氏、蕪木 文香氏
これで仕事が変わる!——成功体験をモチベーションに、FormBridge・kViewerと広げた業務改善
東急株式会社では、2024年からの中期経営計画に、現場主導でデジタル業務改善を進める「市民開発」の推進が組み込まれました。同年8月、各部門の課題を横断的に拾い上げて伴走支援する組織として事務局の立ち上げ準備が始まり、2025年2月に4人体制(取材当時は7名)で正式に稼働しています。
事務局は、市民開発体制構築の第一歩として、専門知識がなくても業務アプリを構築できるノーコードツール、kintoneを導入しました。しかし、kintoneの活用が拡大していくに伴って、kintoneアカウントを持たない社内外の方との情報共有が課題となっていきました。
そこで事務局は、kintoneアカウントを持たない相手とも情報をやり取りできるFormBridge・kViewerを導入します。
2製品の導入は、社外の方からの情報収集や社内での情報共有に大きな変化をもたらしました。例えば、同社を退職したOB・OG向けに必要な書類を発行する業務では、発行に必要な情報のやり取りにおける「郵送」や「情報の転記」などの工数を大きく削減しています。
以前この業務では、年に一度対象者約3,000人に紙の案内書を郵送し、返送された封筒を開封して、内容をExcelに転記していました。
FormBridgeの導入後は、配布管理をkintoneに移行し、書類の手続きがWebフォームでも行えるようになっています。現在は、3,000件のうち約700件をWebフォームで対応。700件分の郵送、封筒の開封、転記の手間がまるごとなくなっています。
「該当部門の部長からは、『アプリを作れたこと自体が現場メンバーにとってモチベーションになっている』という声があがりました。こういうことができるんだって実感を得たことで、キラキラし始めてるというようなことを話していて。自分たちで業務を改善したことによる、ポジティブな心情の変化というのが非常に大きかったのではないかと思っています。」(千野氏)
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▲書類発行の申し込みフォームと発行対象者を管理するkintoneアプリ
kintone連携サービスが後押ししたのは、事務作業の効率化だけではありません。無数の顧客対応に追われる駅の現場でも、これまでとは違う変化が生まれています。
お客さまへのご案内や対応における工夫は各駅で共通する内容が多いため、導入以前より、難しい対応が発生した際の対応情報や、いわゆる「ヒヤリハット」事例の情報をExcelに収集し、駅間で共有できる仕組みを目指していました。
ただ、現場の駅員全員がPCやMicrosoftのライセンスを持っているわけではなく、Excelで情報共有できる範囲には限界があります。検索性も十分ではなく、共有ファイルの活用はあまり浸透していませんでした。
そこで、FormBridgeで作成したWebフォーム経由で、現場における応対ノウハウや気づきの投稿をkintoneアプリ上に集め、その内容をkViewerでWebページとして公開する運用を開始しました。各駅のPCから、URLをクリックするだけで共有ページにアクセスし、必要な情報を検索で見つけられるようになりました。.webp&w=1920&q=75)
▲「ヒヤリハット」事例共有用のkintoneアプリ
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▲事例投稿用のWebフォームと閲覧用ビュー(Webページ)
「ExcelからkViewerに置き換えたことで、オンライン・オフライン問わずみんなで事例を集めたり話し合ったりと、交流が非常に活発になったと聞いています。こういうシステムを素早く作れた、というインパクトも大きかったと思います。該当部門の部長も、これで仕事のやり方が明らかに変わると高く評価していました。」(千野氏)
こうした成功体験が社内で評判を呼び、FormBridgeとkViewerの利用はどんどん拡大していきました。現在は300以上のkintoneアプリが稼働しており、そのうち約3分の1はFormBridge・kViewer・kMailerと連携して活用されています。
月100件の修正依頼が市民開発事務局に!
ガバナンス確保のため、現場への権限移譲を断念
FormBridgeとkViewerの活用が着実に広がっていく一方で、事務局は新たな課題を抱えることとなります。
運用されるkintone、kintone連携サービスで構築されるシステムについて、現場からの修正依頼は月に100件以上。当時事務局でしか修正を行えなかったフォーム・ビューの数も200以上に膨らみ、事務局の稼働工数のうち、3割以上がkintone連携サービスの保守に費やされることとなりました。
「小規模な改善要望が多くて、毎月細かいものを含めて100件以上あったと思いますよ。大きいものだと対応に1時間とか2時間かかってしまうので、結構な負担でしたね。」(千野氏)
また、事務局が依頼に対応するまでの間、現場メンバーには待ち時間が生まれます。5分や10分で終わる修正でも、他の業務との兼ね合いで2~3日ほど依頼者を待たせてしまうことも。現場メンバーからも、「ちょっとした修正でわざわざ申請を出すのはためらってしまう」という声が上がっていました。
「『こんな小さな修正で依頼をするのが本当に申し訳ない』という声が実際に上がっていました。現場の方からすると、細かな修正のために都度依頼をするというのはハードルが高いものがあったのかなと思っています。」(蕪木氏)
そんな状況の中、現場メンバーにシステムの作成・修正権限そのものを渡すという選択肢も、もちろんありました。ただし、FormBridgeやkViewerは、設定次第で事務局以外の社員にもkintoneの情報へのアクセスを許せる仕組みです。誰でも自由に連携サービスを編集できるルールにしてしまえば、他部門のフォームやビューを誤って編集してしまったり、トラブルが起きたときに原因を特定しづらくなったりと、ガバナンス面の懸念が生じます。こうしたリスクを前に、事務局は現場への権限付与を断念しました。
ユーザーライセンスと徹底した事前準備で目指した
「セキュアな市民開発」
権限付与を断念してから間もなく、事務局が出会ったのがユーザーライセンスの「編集者」機能でした。正式リリースの約1年前からニュースリリース等で機能の概要を把握しており、「あれが使えるかもしれない」という感覚を持っていたといいます。
編集者の権限では、ユーザーが編集できるフォーム、ビューを制限することができます。また、ユーザーライセンスの監査ログ機能があれば、誰がいつ設定を行ったのかを後から確認することも可能です。
事務局は、これまでの運用実績から「アプリの開発・保守スキルがある」と判断でき、かつ「ガイドラインやルールを十分に理解している」メンバーに絞って「編集者」権限を付与する方針を固め、正式リリース直後に導入を決めました。
これで、システム上はフォーム・ビューを編集できるメンバーが増えたことになりますが、権限を渡すだけで、現場が迷わず使いこなせるようになるわけではありません。 FormBridge・kViewerの自発的な活用をスムーズに浸透させたのは、ライセンスを渡す前に事務局が行った3つの「事前準備」でした。
まずは、セキュリティ設定を組み込んだフォーム・ビューのテンプレートを用意しました。フォームやビューが意図しない相手からアクセスされないよう、セキュリティ項目の設定を済ませたテンプレートを作成し、メンバーに配布しています。
「絶対に設定してほしい内容はテンプレートに設定して、現場のメンバーには必ずそのテンプレートを使ってフォームやビューを作成してもらうようにしています。」(千野氏)
さらに、設定方法や運用ルールをまとめたkintoneスペースも事前に整備しました。.webp&w=1920&q=75)
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▲「編集者」ユーザーが閲覧するkintoneスペース。設定手順、運用ルールなどをいつでも確認できる。
最後に、ライセンスの付与対象者には1時間ほどルール等の説明時間を設け、以降は専用スペースを参照してもらう流れにしています。権限を「渡すか渡さないか」ではなく「誰に・どう渡すか」という視点に切り替え、渡す前の仕込みまで徹底しました。現在は事務局に2ライセンス、現場メンバー4人に編集者ライセンスを付与し、計6ライセンスで運用しています。
FormBridge・kViewerの修正対応時間を50%減!
事前準備で現場も安全に自走
万端の事前準備を経て始まったユーザーライセンスの運用は、FormBridge・kViewerの運用拡大に着実な成果をもたらしました。編集者ライセンスの付与後、現場メンバーは早速、自力でフォーム・ビューの作成や編集を開始します。
「最初は現場にも負担がかかるかもしれない、と不安に思っていました。ですが、ふたを開けてみると、自分たちで開発・保守ができる!という声ばかりで。これは今まで相当遠慮させてしまっていたな、というスピード感で動いています。」(千野氏)
ユーザーライセンスの導入後、kintone連携サービスの修正対応にかかる事務局の工数は50%に削減。単に工数を削減できたというだけではなく、事務局メンバーの心理的負担も軽減されました。
「依頼がきたときの、すぐ返信しなければというプレッシャーはなくなりましたね。自分がやらなくちゃいけない仕事に集中できるようになっています。」(蕪木氏)
この成果を支えたのが、権限を渡す前に整えた、スペースとテンプレートでした。
「kintoneのスペースを作ったことは一番心理的なハードルを下げたと考えます。ライセンスを付与して、自分で作成・保守するにあたって、いつでも設定手順やルールを確認できる場所を設けたことは非常に効果的だったと思います。わからないことがあればスペースを見てくださいとお伝えしているのですが、今のところそれほど、事務局で質問を受けることなく運用を回せております。」(蕪木氏)
内部統制の面でも、成果は着実に表れています。編集者のライセンスで他のメンバーが作成したフォーム・ビューへの誤操作を防止。テンプレートの活用により、セキュリティ面のトラブルもなく運用できています。さらに、監査ログ機能とユーザーライセンスの組み合わせによって「誰が」「いつ」設定を変更したか追跡できる仕組みが整ったことで、トラブルが起きても原因をすぐに特定できる安心感につながりました。
権限の限定や監査ログなどの機能を土台に徹底的な運用ルール設計を行い、現場にも十分な情報提供をすることによって、「市民開発の拡大」と「ガバナンスの確保」を両立しています。
「任せて終わりにしない」
——「仕組み」と「教育」で育て続ける市民開発
徹底した事前準備によって、ガバナンスを確保しながら市民開発の拡大による業務改善の効率化を掴んだ東急株式会社千野氏は、現場主導のツール活用を拡大するにあたり、現場に権限を付与するだけではなくツールを広げる事務局自身がメリット・デメリットを確実に把握し、提唱していく姿勢が重要だったと語ります。
「現場に任せて終わりではなく、広げる側の人たちが、kintone・kViewer・FormBridgeの良さと難しさ、メリット・デメリットをきちんと把握しておく必要はあると思います。その上で、現場に理解してもらうための仕組みを設計し、伝えていくのが大事だと思います。」(千野氏)
東急株式会社では今後、属人化の解消に向けて「共同編集者権限」の活用を見込んでいます。現場の裁量が広がったことで、個々のメンバーにノウハウが偏りやすくなっている状況を踏まえた次の一手です。
市民開発の実現とガバナンスの両立にお悩みの方は、東急株式会社の事例をヒントに、自社にあったトヨクモkintone連携サービスの運用体制を探ってみましょう。
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記事公開日:2026年9月18日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります。
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