850個のkintoneアプリを78人で運営!マルテー大塚の「キントレ」が育てた現場主導のDX
企業紹介
刷毛やローラーをはじめ、スプレーガン・養生用品・専用機など幅広い製品を扱う
塗装業界向け副資材のリーディングカンパニー
2013年からkintone、2018年からトヨクモのkintone連携サービスを導入し、
市民開発による業務改善を推進中
課題
kintoneの利用範囲が拡大されるにつれ、開発担当の対応リソースが不足
市民開発の拡大に伴い、メンバーに付与する権限を最小限にしつつ
前任者からの引き継ぎにも対応できる権限設計が必要に
解決策
社内教育プログラム「kintoneトレーニングギルド」により、累計78人の市民開発者を育成
免許制・最小権限の原則を軸にした権限設計を整備
編集者ライセンス / 共同編集者機能を活用し、システム上でも権限を細分化各部門が自律的にkintoneや連携サービスを設定・運用できる体制を構築
効果
現在850個のアプリが社内で稼働し、各部門が自律的に業務改善を推進
編集者ライセンス / 共同編集者機能の活用により最小権限での運用を実現
ガバナンスと現場の自由度を両立した運用が定着
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マルテー大塚グループは、刷毛やローラーをはじめ、スプレーガン・養生用品・専用機など幅広い製品を扱う塗装業界向け副資材のリーディングカンパニーです。
同社では2013年からkintoneを、2018年からトヨクモのkintone連携サービスを活用し、業務改善に取り組んできました。トヨクモでは以前にも同社の導入事例を紹介しましたが(2018年公開記事)、あれから8年の間に利用の規模はさらに拡大し、kintoneの設定を行う「市民開発者」の数は78人に及んでいます。
今回は、kintoneおよびトヨクモ製品の運用・教育を担うDX・AI推進部の石井健太郎氏に、現場主導の市民開発体制を築き上げるまでのプロセスをお話しいただきました。

▲マルテー大塚グループ DX・AI推進部の石井健太郎 氏
業務改善を阻む、システム部1人の開発工数
——500名規模の企業が選んだ「斧を研ぐ」という選択肢
マルテー大塚グループがkintoneを導入したのは2013年のこと。その後、2018年からトヨクモのkintone連携サービスの活用もスタートし、現在はバックオフィスを中心に幅広く利用しています。
kintone導入当初、その設定はすべてシステム部が請け負う体制を取っていましたが、担当は当時システム部に所属していた石井氏のみ。現場からの業務改善要望は順調に増え続けるものの、実際に開発にかけられる石井氏の工数には限りがあります。 さらに、現場が「やりたいこと」をシステム部へ言葉で伝え、石井氏がそれを形にするというプロセスが常に発生するため、要件のすり合わせだけでも相応の時間がかかります。
開発の手が空かない、コミュニケーションにも時間がかかる——二重の負荷を受けて、業務改善の歩みは次第に鈍化していきました。
「現場から要望があるのに、開発担当が忙しくて業務改善が進まないのはちょっと本末転倒なので・・・木こりのジレンマってやつですよね。時間がないって言ってても解決しないので、斧を研ぎ始めた感じです」(石井氏)
木を切るのに忙しいと斧を研がず、効率の悪い仕事を延々と行ってしまう——いわゆる「木こりのジレンマ」を脱するため、「斧を研ぎ始めた」と言う石井氏。この「斧」こそ、エンジニアではなくとも自分でシステムを開発できる現場の市民開発者たちでした。
システム開発を含め、現場の業務改善は現場で行ってもらう。そのために、kintoneやトヨクモ製品でアプリ開発を行えるユーザーを増やす取り組みを始めたのです。.webp&w=1920&q=75)
開発者78人を輩出!「kintoneトレーニングギルド」で目指す、現場主導の改善文化
「斧」、つまり市民開発者を育てるために石井氏が設計した社内教育プログラムが「kintoneトレーニングギルド」通称「キントレ」です。
1回2時間、4〜5回のハンズオン講義を通じてkintoneの基本機能を習得し、修了したメンバーはキントレ卒業生としてkintoneアプリの作成、編集を許可されます。
講義は『kintone完全マニュアル』(秀和システム新社)をベースに石井氏がまとめた資料を使いつつ、実際にkintoneを操作してもらいながら進めるハンズオンスタイル。kintoneの基本機能を習得したあとは受講者の作りたいシステムに応じて、連携サービスやプラグインについて学ぶ「キントレトヨクモ」などの「アドバンスド」な授業へと案内しています。
「一旦、必要な情報に絞って、kintoneの基本機能だけを教えています。そこからやりたいことを聞いて、必要があれば各連携サービスのハンズオンに案内してますね」(石井氏)
「キントレ」開講当初は石井氏から直接声をかける「ダイレクトナンパ式」で受講生を集めていましたが、徐々に受講希望者が手を挙げる挙手制へと移行していきました。
現在は18期生が学習中で、これまでに累計78人の市民開発者を輩出。システム部に頼らずとも、現場のメンバーが自分でサービスを設定、活用できる体制が着実に広がっていきました。
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▲マルテー大塚グループにて開催される「kintoneトレーニングギルド(キントレ)」ロゴ
850個のアプリを現場で運用!
免許皆伝の「キントレ」卒業生が支える市民開発
「キントレ」の積み重ねにより、現在は社内で850個ものアプリが稼働しています。バックオフィス(秘書チーム・企画広報・労務・経理・人事・総務など)を中心に、EC部門や商品開発、不動産、営業本部など各部門へと利用が広がり、ニューヨークのグループ会社システム部門も活用中です。
活用シーンもさまざまです。例えば、「FormBridge」は人事情報や健康診断にかかる従業員とのやり取りに、「kViewer」はニューヨークにあるグループ会社との国際物流管理における情報共有に、「kMailer」は仕入れ先企業への一斉連絡などにそれぞれ活用。重要アプリのバックアップには「kBackup」も利用されています。
これらシステムの多くを運用、管理しているのは、各部署にいるキントレ卒業生の方々です。
「健康診断は総務のチームのキントレ卒業生がやってますし、家族情報は労務チームがやってます。やってみて、わかんないとこだけ聞いてくる感じですね、私に」(石井氏)
「わからないところだけ」問い合わせが来るという状況は、キントレが目指してきた現場主導の改善文化が着実に根付いてきた証です。各部門がそれぞれ、自分でサービスを設定・運用しながら自律的に業務改善を回せるようになっています。
業務改善のスピードと安全性を両立させる
「免許制」と「最小権限」の原則
市民開発を推進するにあたり、マルテー大塚グループが一貫して重視してきたのが権限設計です。
kintoneでアプリを編集できるライセンスは、キントレ卒業者のみに付与するという免許制を取っています。FormBridgeなどトヨクモkintone連携サービスについても例外ではなく、石井氏がキントレ卒業生一人ひとりにヒアリングを行ったうえで判断し、ログインを許可する仕組みです。
また、ライセンスを付与したユーザーに対しても、他人が作ったシステムの削除を一切禁止するというルールを徹底してきました。
「FormBridgeのフォームやkViewerのビューについては、他人が作ったものの削除を一切禁止しました。ルールとして削除するなと言っています。そもそも作成する数に制限もありませんし、削除する必要自体がないですしね」(石井氏)
そして2025年、kintone連携サービスにおけるユーザーライセンス機能の一部である編集者ライセンスのリリースにより、このルールをシステム上で義務付けられるようになりました。
編集者ライセンスを付与されたユーザーは自分が作成したフォームやビューのみを編集できる仕様となっており、他のメンバーが作成したフォーム、ビューなどの誤操作は起こり得ません。石井氏はまず、システム部以外の市民開発メンバーのうち、トヨクモkintone連携サービスの操作を行うメンバーを編集者ライセンスへ移行しました。
ところが、運用を進める中で編集者ライセンスだけでは対応しきれないケースが出てきました。市民開発メンバーが、前任者からの引き継ぎや、過去システム部が作成したフォーム・ビューを編集しなければならないケースが発生したのです。該当メンバーから相談を受けた石井氏は、該当者を管理者ライセンスに戻す、つまり、再度すべてのフォームやビューなどを編集できる状態に戻す対応を、複数回行うことになりました。
この「前任者からの引継ぎ」と「最小権限での運用」を両立できない状況を打開したのが、編集者ライセンスに続きリリースされた共同編集者ライセンスの機能です。
編集者ライセンスのユーザーを「共同編集者」として招待することで、フォームやビュー単位で新たに編集権限を付与できるようになりました。これにより管理者ライセンスを増やさずとも必要な権限だけを渡せるようになり、「編集者を管理者に戻す」というオペレーションも不要になっています。
「共同編集者は便利ですね。編集者に余計な権限を与えないで済む機能ですから」(石井氏)
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現在は、管理者ライセンスをシステム部のメンバーと一部の対象者に限定し、それ以外のkintone連携サービスユーザーは編集者ライセンスを利用。共同編集者はフォーム・ビュー単位で付与する運用で、各メンバーの権限を必要最小限とする運用を実現しています。
権限は厳しく、ちょうどよく――kintone13年目、トヨクモ8年目の今も変わらない運用スタンス
システム部1人から始まったkintoneの活用を、キントレを通じて78人の市民開発者へと広げ、850個のアプリが社内で動く体制へと発展させたマルテー大塚グループ。石井氏はこれからも市民開発の拡大を見据えています。
一方で、広げるからこそ権限の設計は厳しく保つというスタンスも変わりません。免許制と最小権限の原則を軸にした運用は、今後も続けていく考えです。
「アプリにしても、フォーム、ビュー、書類なんかにしても、作成が免許制なので勝手に作られることはないんです。それが厳しすぎるという方も多分いらっしゃるんですよね。もっとkintoneを広げたいからフリーに使わせている、っていうのもよく伺いますし。状況によりけりですけど、私は今の運用がちょうどいいかなって思ってます」(石井氏)
マルテー大塚グループでご利用いただいているFormBridge、kViewer、PrintCreator、kMailerなどのkintone連携サービスは、専門知識がなくとも設定、運用できるノーコードツールです。いずれも、何度でも利用できる30日間の無料お試しを提供しています。
無料お試し期間中には、マルテー大塚グループで最小権限の原則を支えた「ユーザーライセンス」を追加することも可能です。市民開発体制の構築に興味のある方はぜひ、無料お試しをご利用ください。
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記事公開日:2026年6月2日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります。




