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コロナ禍特有の調査業務と、30万件近くの検査キット申請対応にかかる計43,000時間をkintoneで削減した神奈川県庁

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 神奈川県庁の医療危機対策本部室は、新型コロナウイルス感染症への的確な対応や、既存の感染症対策の強化などを目的に設置された部署です。

令和2年に新型コロナウイルス感染症が拡大したことを受け、県と医療機関でデータを供覧するためにkintoneを、さらにたった5日間で「感染防止対策取組書・LINEコロナお知らせシステム」を開発するためにトヨクモ連携サービスを導入いただいたことをきっかけに、現在は健康医療局全体でkintone活用の場が拡大しております。

本記事では、神奈川県庁 健康医療局 保健医療部 医療企画課主査の上村大地氏(令和6年3月末まで医療危機対策本部室に勤務)と、kintone×トヨクモ連携サービスのアジャイル開発を現場で先導したワークログ株式会社 代表取締役の山本純平氏よりお話を伺いました。
 

医療資材や病床使用率などの情報を集約し、医療機関と供覧できる情報基盤としてkintoneを導入

 新型コロナウイルス感染症拡大を受け、急激に県内の病床が埋まり始め、新規感染者が入院するための病床確保や搬送調整スキームの確立が喫緊の課題でした。さらに、国内で医療資材の確保が困難になり、県が一括して調達し医療機関にプッシュ型の支援を行うことになりました。

そこで、医療機関や保健所など現場の状況を把握し、即時に的確な判断をするために医療機関と県とでデータを供覧できて、閲覧範囲の権限設定や挙動の制御を入れることができるプラットフォームとしてkintoneの導入が決定したそうです。

kintoneは病院や保健所と情報を共有し、蓄積するデータベースとして活用されました。物資在庫や病床等の情報がリアルタイムで共有できるようになっただけでなく、グラフも作成できるため、情報をわかりやすく伝達できたそうです。
 

▲病院と病床数の情報共有を行っていたkintoneのアプリ


「kintoneの導入は、民間出身だったコロナ対策本部統括官の『クラウドサービスを導入しないと現場が崩壊する』という強い危機感による提案で実現しました。災害用の既存システムはあったものの、そういったツールを感染症向けに改修するには時間と費用がかかります。仮に代用できたとしても、未曾有の感染拡大状況だったこともあり、どうしても現場にそぐわない機能もあったでしょう。急ピッチで仕組みを導入し、構築するには既存のシステムではうまくいかなかったと思います」と山本氏は振り返ります。

「感染防止対策取組書・LINEコロナお知らせシステム」の開発をたった5日間で対応するためにトヨクモ連携サービスを導入

 そんな中、神奈川県知事は令和2年5月20日に「感染防止対策取組書・LINEコロナお知らせシステム」という施策を発表しました。第1回目の緊急事態宣言の解除に伴い始動する予定でしたが、解除が月末から5月25日に前倒しとなった関係で、わずか5日間でシステムを開発しなければなりませんでした。

「スクラッチ開発は無理でしたし、コロナ対応で作り上げてきた業務スキームを実現できるような他社製品が見つかりませんでした。5日間で施策を実現するにはkintoneとトヨクモ連携サービスでしか実現できないというのが導入の決め手でした」(山本氏)


感染防止対策取組書・LINEコロナお知らせシステムは、kintoneとFormBridgeとPrintCreatorを組み合わせて実装されました。
事業者に自社の情報と実施している感染対策をフォームで登録してもらい、事業者ごとのQRコードが記載された「感染防止対策取組書」を発行します。
 

▲フォームを登録するとマイページから感染防止対策取組書やポップの発行が可能

 

▲感染防止対策取組書の一例

 

▲LINEコロナお知らせシステムのポップ編集画面

PrintCreatorで出力印刷した「感染防止対策取組書」を店頭などに貼り出し、来店した人たちにQRコードを読み込んでもらうことで行動履歴が残る仕組みです。
 

▲店頭で張り出すLINEコロナお知らせシステムのポップの一例


陽性者が出た場合、保健所が陽性患者に対する行動履歴の調査を行います。なかでも濃厚接触者が多数存在する可能性の高い施設を利用していた人については、同時刻に同じ場所にいた人に、濃厚接触の疑いがあるので保健所に連絡するよう、LINEでメッセージが届くという運用です。

最終的にこのシステムに登録した事業者の数は、コロナ5類移行前の令和5年5月8日時点で15万7000以上と、県内で半数以上の事業者が利用していました。


「コロナ対応の現場は日々変化が生じており、それに合わせて都度機能改修が必要でしたが、kintoneはローコード・ノーコードのツールなので柔軟に対応しやすかったです。そのおかげで速やかで効率的な業務運営につながりました」(山本氏)

FormBridge×kViewer×PrintCreatorの連携で、医療体制の逼迫を防ぐための自主療養届出システムや抗原検査キットのクーポン発行を確立

 kintoneおよびトヨクモ連携サービスは、コロナ禍において幅広く活用されました。

令和4年1月頃、オミクロン株の拡大により医療機関に人が殺到しました。その際懸念されたのが、軽症患者の受診が急増することで医療リソースが逼迫し、入院すべき重症患者も受診できないという事態です。そこで、神奈川県は重症化リスクが低く、軽症であれば検査結果をオンラインで申請すれば自宅でも療養サポートを受けられる「自主療養届出システム」を整備しました。また、令和4年8月には、自主療養届出システムの利用が進んでいたこともあり、医療機関の逼迫状況を改善するために、クーポンによる抗原検査キット配布の施策も実施しました。

自主療養届出システムは、薬局やドラッグストアで購入した抗原検査キットの結果が陽性だと判明した場合、FormBridgeで検査結果や必要情報を提出することで申し込めます。
 

▲回答前に、重症化リスクの高い人は自主療養届出システムを使わないよう呼びかけている


 

▲実際のフォーム画面


登録されたデータは県が内容を確認し、陽性と確認できた場合、学校や勤務先などに提出できる自主療養届をPrintCreatorで発行し、kMailerで申請者に送信していました。

 

▲陽性認定のPDFをPrintCreatorで出力するための画面


抗原検査キットクーポン発行の施策では、氏名・メールアドレス・電話番号など申請者の情報をFormBridgeから登録できるようにしました。
 

▲実際の申込みフォーム


県は登録されたデータを元に、病院、クリニック、薬局、配布会場で消込の処理が可能な二次元バーコード付きのPDFクーポンをPrintCreatorで発行します。二次元バーコードを読み取るとkViewerのMyページが表示されクーポンの消込が行える仕組みです。
 

▲QRコードを読み込むことで消込の処理も可能

感染拡大の波が最大だった令和4年8月では最大で全患者の3割ほどが自主療養届出システムを利用しており、現場の医療リソースの負荷を少しでも和らげることにつながりました。

さらに、抗原検査キットクーポンの発券申請は30万件近くにのぼり、利用済みクーポンの発行や消込は既存の業務スキームでは対応できないものでした。平時のようにExcelやWordなどを活用して同様の施策を行ったと仮定すると、kintoneとトヨクモ連携サービスにより14,000時間分の業務削減効果があるという積算になりました。

 ▲神奈川県庁 健康医療局 医療企画課(インタビュー時は医療危機対策本部室) 主査の上村大地氏

FormBridge×kViewerルックアップで高齢者・障害者施設におけるクラスター対策調査を含む照会・アンケート業務をオンラインで実施

 高齢者施設・障害者施設など、クラスター感染が懸念される事業所における陽性者の数を把握し、クラスター感染にならないようモニタリングや感染対策の助言を行っていました。
その際、「事業所ごとに電話した履歴やヒアリングした情報を集約して表示したい」「現地に訪問した履歴も確認できるようにしたい」といった支援状況を一元的に共有する仕組みへの要望が上がるようになり、調査および情報集約をkintoneとトヨクモ連携サービスで行うことになりました。

まず、kintoneで各事業所の情報を登録したマスタアプリを用意し、レコード番号を事業者IDとしました。そして、各事業所の職員が日次報告するためのフォームをFormBridgeで用意します。
 

▲実際に使用していた日次報告フォーム

フォーム上ではkViewerのルックアップ機能で事業所を検索できます。事業所名を選択することでそのフォームの回答に事業者IDが裏側で付与され、フォームで提出された情報が自動で事業所ごとに整理される仕組みにしました。

 

▲ルックアップ機能で事業所名の表記揺れをなくすことができる

令和4年度に実施された調査・照会・アンケートは約100件ですが、トヨクモ製品を使わずに「Excel様式で回答フォームを作成・メール送付して各事業所から回収する」という業務スキームで行った場合との単純比較で、29,000時間も業務効率化を実現したという積算になりました。

令和6年4月施行の医療措置協定の締結もFormBridge×kViewer×PrintCreator×kMailerで開発

 コロナ対応が落ち着いた現在は健康医療局全体でkintone活用の動きが広がっています。
その一つが令和6年4月に感染症法が改定されたことで必要となる医療措置協定を締結するためのシステム開発です。

「健康医療局全体に利用を拡大するにあたって、改めて他社製品との比較を行ったものの、トヨクモ製品を連携すれば実現できる機能要件を全て満たすものがありませんでした。一部満たしているツールも、JavaScriptを記載する必要があったり、費用が高かったりといった課題があったため、引き続きトヨクモ連携サービスをフル活用することになりました」(上村氏)

医療措置協定では感染症の発生およびまん延時に、迅速かつ的確に医療体制を確保することを目的に、平時から、都道府県と医療機関の間で機能・役割を相互で確認した上で、医療提供の分担・確保にかかる協定を締結する必要があります。

そこで神奈川県はkintoneで各医療機関の情報が集約されたマスタアプリを作成しました。そして、医療計画および協定締結に必要な情報はFormBridgeを使ったオンラインアンケートで収集しました。
 

▲使用されたフォーム

kViewerではMyページを用意し、県がPrintCreatorで出力した医療措置協定の帳票をマイページ上で確認できるようにしました。
 

▲PrintCreatorで出力した協定書案

作成された帳票を医療機関に送付するときはkMailerを使用します。
 

▲kMailerであれば送信先が自動反映される

「データを管理しているkintoneアプリからメールを送付するときはkMailerを使っています。本来、対象者にBCC一括送信しなければならないものをCCやTOで送付してしまって、個人情報が流出する事案が起きがちですが、kMailerではこの心配がない点が素晴らしいです」(上村氏)

「非効率な仕事から解放する」ために、医療危機対策本部室の経験を生かしてkintoneとトヨクモ連携サービスを展開したい

 上村氏は、「kintoneとトヨクモ連携サービスなら急速に変化する社会情勢下であっても、迅速かつ臨機応変にスピード感を持って対応できます。急遽『明日、この施策をスタートして』と依頼されたとしても、過去のテンプレートを再活用してすぐ対応できるのも良いですよね。施策が走り出した後も、修正をどんどん依頼されますが、それも現場ですぐに修正対応できます」とこれまでの活用を総括して評価いただきました。

山本氏は、災害現場におけるkintone活用にも可能性を見出しています。
「神奈川県のコロナ禍における数々の取り組みは国内の先進事例となりました。実際に自主療養届出システムのフレームワークは令和4年9月より厚生労働省が主導した『新型コロナウイルス感染症の全数届出の見直し』に展開され、各都道府県における同様の仕組み構築が促進されました。これらはkintoneとトヨクモ連携サービスがあったからこその成果です。

地震・水害などの災害支援活動をするなかで、kintoneやトヨクモ連携サービスは現場対応で光ると感じています。
令和6年の能登半島地震における情報共有も、既存システムではなかなか対応できておらず、突貫で最適化したシステムを作りたいという要望があがりました。

これまで災害の対策・支援領域でITを活用しきれていない感覚がありましたが、その課題をkintoneなら打破できるだろう、という確信も得ています。
今後はそういった現場にkintoneで構築したシステムを提供しつつ、各都道府県で使用している独自の基幹システムとも連携し、情報共有の基盤や国含めたシステムの全体設計まで支援の幅を広げていきたいです」(山本氏)
 

▲ワークログ株式会社 代表取締役の山本純平氏

今後の展望として、上村氏はkintone活用の場をより広めていきたいと回答しました。
「医療危機対策本部室の業務で培ってきた仕組みや経験を健康医療局内へ展開していきたいですね。一番分かりやすいのは集計作業に時間がかかる調査・照会・アンケート業務です。kintoneとFormBridgeに置き換えることで、各課や保健福祉事務所などの出先機関の業務を効率化していくところから始めたいと考えています。

時間はかかるかもしれませんが、業務を効率化すると職員に余裕が生まれ、マインドも変わっていくと思います。そして、事業担当者から施策に役立つアイデアが現場の各職員からたくさん生まれて、それを実現するためにkintoneとトヨクモ製品を管理する我々への相談も増えて、さらに業務の効率化が進んでいく。そんな未来に寄与出来たら理想的だなぁと思い描いています」(上村氏)

記事公開日:2024年5月31日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります

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kintone内に保存されているURLやメールアドレスを元に、QRコードを自動で生成して出力できます。

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