長年の紙文化を脱却し、DXを推進!従業員1,000人超え老舗企業のトヨクモkintone連携サービス活用事例

1940年の創業以来、80年以上にわたり産業プラントエンジニアリングの先駆者として成長を続けてきた高田工業所。産業設備プラントの設計、建設、メンテナンスから半導体製造装置の開発・製作まで、多岐にわたる事業を展開しています。
同社は、紙ベースの業務、Excelでの情報管理、属人的な報連相などを改善するため、kintoneを導入。さらに、FormBridgeとkViewerを組み合わせることで、より柔軟な情報共有の仕組みを構築し、大幅な業務時間の削減に成功しています。
本記事では、同社DX推進部の讃井様に、トヨクモkintone連携サービスの具体的な活用事例と、導入効果についてお話を伺いました。
kintoneによる営業支援アプリやワークフローの導入で情報共有基盤を再構築
同社は、多くの情報を紙やExcelで管理していました。一部ではAccessで構築したシステムも使用していましたが、専門知識を持つ担当者の異動やサポート終了のリスクといった課題があったそうです。さらに、ファイルの変更履歴や最新版を把握できないことも情報共有の大きな妨げとなっていました。
これらの課題を解決し、全社的な業務効率化と生産性向上を目指してICT推進部(現DX推進部)が発足。業務ツールの検討を進める中で、ノーコードで誰でも簡単にアプリを作成できる使いやすさや、ブラウザで完結する利便性、コメント機能によるスムーズな情報共有が評価され、kintoneが導入されることになりました。
「紙による業務は情報共有が難しく、管理も煩雑になりがちです。現場から改善を求める声が上がる一方で、情報システム部門は基幹システムの運用保守に追われ、なかなか対応できない状況が続いていました。こうした中、社内で 『kintoneなら自分たちで解決できるのでは?』 という期待が高まっていったのです。」(讃井氏)
しかし、導入当初はkintoneの明確な活用方法を定められず、なかなか社内に浸透しない状況が続いていました。利用説明会などの周知活動も行っていたものの、約半年間は効果的な使い方を模索する期間となったそうです。
そうした中、営業本部から「営業活動を見える化したい」という相談が届きます。そこで、メールや口頭などで行っていた営業報告をkintoneに統一し、顧客情報、案件情報や関係書類と紐づけて管理できるようにアプリを構築。営業活動の効率化につなげていきました。
「アプリの導入により、電車の中など外出先でもタブレットを使って営業活動の報告ができるようになりました。kintoneにアップロードされた内容は、通知機能によって即時に関係者へ発信されるため、情報共有までのスピードが格段に向上しています。また、お客様への説明に使う営業資料もアプリ内に保存されているため、タブレットで必要な情報を参照でき、資料を持ち歩く手間がなくなりました。」(讃井氏)
この成功体験をきっかけに、役員向けのスケジュール管理、固定資産管理、技術標準検索 など、kintoneの活用が他部門にも広がりました。
さらに、2021年には kintoneと連携可能な電子決裁システムを導入。これまで全国の事業所や部門間で紙の申請書をやり取りしていましたが、電子化により一連のプロセスの大幅な効率化に成功しました。加えて、申請や承認の流れがシステム上で一元管理されることで、社内規定に沿った処理が自動的に進む仕組みとなり、ヒューマンエラーや判断のばらつきを防ぎつつ、スピーディーな運用が可能になりました。
kintoneの可能性を広げ、更なる利用促進へ!トヨクモkintone連携サービス活用事例
営業活動支援アプリや電子決裁システムの導入に成功したことで、kintoneの活用範囲が拡大した同社。さらに多くの社員に活用してもらうため、体験会や勉強会を適時開催して便利な使い方を紹介したり、より便利になるようにプラグインや連携サービスを導入したりしていきました。
その取り組みの一環で、kintoneとの高い連携性や優れた操作性に魅力を感じたFormBridgeとkViewerを導入。現在は、約1,400名の社員のうち約600名がkintoneライセンスを所有するまでに拡大しました。ここからは、具体的な活用方法と業務改善の成果を紹介します。
社内アンケート(FormBridge)
同社では、技術部門の発表会後アンケートやコンプライアンス関連のアンケートなど、社員向けのアンケートを定期的に実施しています。 中には1,000人以上が対象となるものもありましたが、紙で運用されていたため、回収に手間がかかっていました。
さらに、電話やメールでの回答が混在することもあり、手作業での転記や集計が必要だったため、結果を取りまとめるまでに1週間以上を要していたそうです。
▲FormBridgeで作成したアンケートフォーム
しかし、アンケートの運用をFormBridgeに切り替えたことで、回答が自動的にkintoneに保存されるようになり、回収や転記の手間が一切不要になりました。その結果、集計作業が1日足らずで完了するようになり、大幅な業務効率化を実現しました。
「回答をすべて選択形式に統一したことで、入力ミスやデータのばらつきがなくなり、正確性が向上しました。また、手書きが不要になったことで、回答者の負担も軽減され、より手軽にアンケートに応じてもらえるようになりました。」(讃井氏)
協力会社と連携した機材の在庫管理(kViewer)
工事用機材の管理は、エレクトロニクス部と協力会社が連携して行っています。 しかし、従来の運用では煩雑な手続きが課題となっていました。
機材を借りる際、依頼者はまずExcelで借用申請書を作成し、承認を得た後にエレクトロニクス部へ提出。 その後、エレクトロニクス部が機材の在庫を確認し、協力会社に問い合わせる必要がありました。
さらに、協力会社が貸し出しの可否を判断し、その結果をエレクトロニクス部へ連絡。最終的にエレクトロニクス部が他部門からの借用申請書を受理することで、ようやく機材発送が可能となるという、複雑なプロセスが発生していました。
この課題を解決するために、kViewerを導入し、機材の在庫状況を協力会社とリアルタイムで共有できる仕組みを構築。 機材の写真や料金情報も一目で確認できるため、依頼者や協力会社とのやり取りがスムーズになりました。
▲kViewerを通じて協力会社と共有している機材在庫状況
これにより、これまで紙の書類やメール、電話で行っていた在庫確認や借用手配のプロセスが、すべてkintone上で完結。 手続きがスムーズになり、大幅な業務効率化を実現しました。
また、kViewerは情報の公開範囲を限定できるため、ゲストスペースの構築やアプリの複製をすることなく、セキュリティに配慮した運用が可能です。 そのため、関係者間で安心して情報を共有できる点も評価されています。
▲kintoneとkViewerを活用した機材レンタルフロー
この取り組みは、同社の社内報で画期的なシステムとして紹介。担当者からは、「kintoneの良さは、アプリを使用しながら改良を重ねられるところ」との声が寄せられ、今後のさらなる可能性に期待が高まっているとのことです。
▲kintoneとkViewerによって構築した機材レンタルシステムが紹介された、社内報の誌面
次の課題はデータ連携。今後もより効率的な業務環境を目指していきたい
kintone導入による業務効率化に成功してきた同社が、次なる目標に掲げているのは「アプリ間のデータ連携」です。
「現在、外部のデータ連携ツールやkintoneのJavaScriptカスタマイズを活用してアプリ間のデータ共有を実現していますが、これをDataCollectでシンプルに実装できるようにしたいと考えています。たとえば、あるアプリで入力されたデータを基に別のアプリの情報を自動更新できる仕組みを構築すれば、各部門が自律的にデータを管理でき、業務改善がさらに進むはずです。」(讃井氏)
現在は、DataCollectの導入に向けた検証段階中の同社。「部門間でのデータ連携は社内のニーズが高く、kintoneの利便性をさらに多くの部門に広げるきっかけになるはず。今後も各アプリを活用し、一層の業務効率化の推進を目指します。」と、讃井氏は話します。