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株式会社那須管財

予約情報と顧客管理の一元化で、少数精鋭チームの生産性を最大化。ドローンスクール事業立ち上げ期の先回りDX戦略

企業紹介

  • 新規事業として2022年に立ち上げた「操学館ドローンスクール」をわずか5名の少数精鋭チームで運営している企業

課題

  • 新規事業の立ち上げにあたり、少数精鋭で事業を運営できるよう、効率的な業務フローをゼロから構築する必要があった

  • 業務フローの構築は責任者が前職で経験したシステムの分断という非効率性を教訓としていた

解決策

  • kintoneとトヨクモの連携サービスを導入し、Webからの予約、顧客管理、社内承認フローまで情報を一元化

  • Webサイトに公開する予約カレンダーや申し込みフォームを構築し、予約枠の自動制御を行った

効果

  • 予約情報が自動でkintoneに集約され、手作業で行っていた集計や報告業務が不要になった

  • 承認フローもデジタル化されたことで意思決定が迅速化し、事業の円滑なスタートダッシュに成功


「操学館ドローンスクール」を運営する株式会社那須管財様は、事業の立ち上げと同時に、顧客情報やスクール講座の予約情報といったさまざまな情報管理のために、kintoneとToyokumo kintoneAppを導入しました。
kintoneおよびToyokumo kintoneAppの導入は、担当者が過去の職場で直面した「システムの分断」という課題が教訓としてありました。
Webサイトからの予約、顧客管理、社内承認フローまでを完全に一元化し、わずか5名のチームであらゆる情報をkintoneに集約するという理想的な業務フローをゼロから構築。少数精鋭のチームが、どのようにして事業のスタートダッシュを成功させたのか、システム構築までの流れと効果について操学館ドローンスクールドローン事業部東康弘氏にお話を伺いました。

「社外との連携」が最優先課題。事業開始と同時にkintoneとトヨクモ製品の導入を決めた理由

株式会社那須管財のドローン事業部は、グループ会社の新規事業として2022年に立ち上げられました。従業員わずか5名という少数体制でのスタートとなりましたが、事業責任者の東氏が前職で経験した「システム分断」の課題を教訓に、当初からデジタル化を前提とした事業設計を行ったそうです。

東氏が前職の自動車販売会社で経験したシステムは、7万人の顧客を管理する大規模なものでしたが、複数のシステムが複雑に連携する構造となっていました。顧客はLINEで車の登録ナンバーと名前を入力し、別画面で点検や車検の予約を行い、さらにその情報がブラウザと予約管理システムに連携されるという仕組みだったとのことです。加えて、社内のスケジュール管理は別システムで運用されており、情報確認のたびに複数のツールを使い分ける煩雑さに悩まされていました。

「前の会社では予約管理ツールと社内管理ツールが分かれており、非常に扱いづらかったです。必要な情報を確認するたびに『これを見る時はこのツール、あれを見る時は別のツール』という状態で、業務効率が著しく下がっていました。この経験から、新しい事業では必ず1つのアプリで全ての情報を管理できる環境を実現したいと考えていました」(東氏)


最優先の要件は、Webサイトからの予約と顧客管理を一つのツールで一元化することでした。「社外(顧客)との連携」を実現できる方法を探した結果、Toyokumo kintoneAppに辿り着き、その連携基盤としてkintoneの導入が決定しました。
ドローンスクール事業では、スクールのウェブサイトの構築と同時並行でkintoneとトヨクモ製品の導入を進めました。2021年8月から構想を開始し、2022年3月の事業開始まで約8ヶ月という短期間での立ち上げを実現しています。
導入決定においては、知人のシステム関係者からの口コミも後押しとなったということです。

「外部連携を前提に事業を始めることにしていたので、外部連携を実現する方法を探していました。その結果、トヨクモさんの製品に辿り着き、トヨクモ製品を使うためにkintoneも導入することになったのです。付き合いのある社外の人に『社外との連携はどんなツールがいいですか』『顧客管理できるものはありますか』と相談したところ、『トヨクモさんとkintoneでいいんじゃないですか』と教えてもらったことも後押しになりました」(東氏)


また、セキュリティ面から、国内サーバーであることも重要な決定要因となりました。当初は他社製品の検討もありましたが、顧客管理の観点から国内サーバーの利点を重視し、kintoneを選択したそうです。

予約から監査対応、社内承認までkintoneで完結。報告業務ゼロ、意思決定の迅速化を実現

お問い合わせや講習への予約といった情報が、すべてkintoneに集約されるようになったことで、データの整合性が保たれ、集計業務が不要となり効率の良い業務フローを構築できました。問い合わせの対応状況なども含め、すべてkintone上で共有できるため、アナログな情報共有の手間を最初からゼロに。口頭確認や付箋でのメモといった、東氏が過去の職場で経験した非効率なコミュニケーションが解消されたということです。

「最も大きな変化は、集計作業の自動化です。予約があった時点で予約数が自動的に蓄積され、講習内容や合否結果もすべてシステム内で管理できるようになりました。データは自動で蓄積・集計され、kintoneのグラフ機能でボタン一つで可視化できるため、エクセルでの手作業が完全になくなり、会議資料の準備も不要になりました。顧客が予約するとシステムが自動で集計してくれるので、私たちは何もしなくても最新情報がいつでも確認できる状態になっています」(東氏)

▲顧客からの申込情報を管理するページ

想定外の効果として、国土交通省の監査に必要な書類を顧客情報に紐づけて保管できる点が非常に役立っているそうです。

「ドローンスクール事業では国土交通省の監査があるため、さまざまな書類を適切に保管・管理する必要があります。実はこの点は導入当初あまり意識していなかったのですが、kintoneで顧客情報に紐づけて書類を添付ファイルとして格納できる機能が非常に役立っています。kintoneのアカウント自体は監査団体にお渡しできないので、監査で必要な箇所のみを適切に提出できるという点も助かっています」(東氏)


承認業務においても、劇的な効率化を実現しています。稟議書や入札案件の承認において、役員が外出中でもモバイルアプリから即座に承認できるようになり、意思決定のスピードが格段に向上。グループ会社の役員は複数拠点を移動することが多く、従来は承認を得るために物理的な在席を待つ必要がありましたが、この課題が完全に解消されたということです。

「稟議書や物品購入の申請、入札事業もあるので『こういうことをやっています』『入札します』『この見積もりできます』といった承認があります。役員がグループでいろいろ動いていることが多いので、目の前にいないことがほとんどなんです。そのため、携帯ですぐ承認してもらえるのがすごく便利です」(東氏)


集計業務の自動化による効果も大きく表れています。従来は手作業でExcelにデータを入力し、会議のたびに資料を作成する必要がありましたが、現在は予約と同時に自動集計され、グラフ化まで瞬時に完了。
さらに、情報共有の手間も大幅に削減されました。以前は付箋やメモで対応状況を管理していましたが、現在はkintone上で全員がリアルタイムに情報を共有できるため、口頭での確認作業が不要となったそうです。
また同社では、入札案件の管理においても、kintoneで詳細な情報を一元管理しているとのことです。

「実際に行った案件では、売上予想金額やどの機体の販売であるかという情報、見積もりの情報、入札の申し込み締切、仕様書など必要なファイルがすべて一つの案件レコード内に格納されています。打ち合わせした時のメモや議事録が残っていて、最終納品完了した時にどんな状況だったかっていうのを記録しています。日報を書いたら、この中に蓄積されていくという感じです。稟議書についても、ファイル管理のアプリと関連レコード機能で連携させて、稟議書を出すと関連する文書が表示される仕組みを構築しています」(東氏)

FormBridge:問い合わせからコース予約をフォームでデータ化、あらゆる顧客情報をkintoneに集約

Webサイトからのデータ登録では、汎用的な「お問い合わせ」と、各種予約カレンダーと『FormBridge』で作成した予約フォームを連携しています。顧客からの問い合わせやコースへの予約といったさまざまな情報をフォームで受け付けることで、予約情報や顧客情報をデータで管理しています。

▲FormBridgeを活用して作成した予約フォーム

問い合わせフォームは、顧客がどの『kViewer』カレンダーから遷移してきた場合でも、一つのフォームで情報が入力され、データがkintoneに蓄積される仕組みです。これにより、顧客接点の情報の一元管理が可能になりました。
一方、予約フォームについては、『kViewer』で作成したカレンダーに対してそれぞれのフォームを連携させています。各フォームは基本的に同じ設計方法で作られているため、複製するだけで簡単に仕組みを構築できました。
kintone内でのアプリ作成は非常に簡単で、5名という少人数体制でも効率的なシステム構築が可能になっているとのことです。

kViewerとDataCollect:6つの予約カレンダーをWebに公開し、予約枠をリアルタイムに自動制御

講習別に合計6つの予約状況カレンダーを『kViewer』で作成し、Webサイトに公開。これにより、顧客は自分が受けたい講習の空き状況だけをピンポイントで確認できます。
予約管理においては、『DataCollect』の活用により予約枠の自動制御を実現しました。例えば定員3名のコースに対して予約が入ると、残数が自動的に2に減算され、定員に達すると予約受付が自動停止する、という仕組みを構築。この制御により、ダブルブッキングのリスクを大幅に軽減しています。

▲kViewerを活用し、予約枠カレンダーを作成

『DataCollect』によって更新された残席数のデータは、『kViewer』のカレンダー表示に即時反映されます。定員に達したコースは自動的に予約ができなくなるといった予約状況の管理を行っているそうです。

▲カレンダーの予約枠はDataCollectで自動調整を行っている

FormBridge、kViewer、DataCollectを活用した予約システムの設定方法はこちらのブログにて紹介をしています。
■カレンダーから日付を選択して予約/申込みシステムを作成!
https://toyokumo-blog.kintoneapp.com/reservation-system-u/

設備予約の自動化とDataCollect活用の深化で、5名体制の更なる効率化を目指す

同社では現在、講習で使用する教室や会議室などの設備予約を別途管理しているため、ごく稀に予約のバッティングが発生するという課題があります。

「今後の目標としては、講習予約と設備予約を連携させたいと考えています。顧客が講習を予約すると同時に、必要な設備も自動で確保される仕組みを構築できれば理想的です。現在は会議室と教室を使いたい場合や、講習室を使用する場合などについては手動で調整していますが、設備管理システムと講習予約が連携して、『ここの教室を使う』となったら自動的にその設備が押さえられるような仕組みにしたいと思っています。また、DataCollectについてもまだ十分に活用しきれていない機能があるので、さらに研究を重ねて業務効率化を進めていきたいですね」(東氏)

5名という少人数のチームで事業を運営しているからこそ、システムによる徹底した自動化・効率化が不可欠です。東氏は継続的なシステム活用の深化により、スタッフが付加価値の高いコア業務に集中できる環境を追求していくとのことです。

  記事公開日:2025年8月6日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります

この事例で活用した機能はこちら

別のサイトにフォームを埋め込むためのiframeコードを自動で生成できます。

FormBridge|Myページ連携

kintone内のデータをユーザー自身で上書きできます。例えば顧客管理アプリ内のA社の住所が変わった際に、管理者ではなくA社の方に情報更新してもらうことが可能になります。

集計元のkintoneアプリへの「レコードの追加・編集・削除」「ステータスの更新」をきっかけに、設定に応じたレコードを自動で集計できます。