紙とExcelでの管理からkintoneへ移行!Toyokumo kintoneAppで加速する中古OA機器販売会社の業務改善事例
企業紹介
中古のOA機器の販売やレンタルを主力事業とし、機器の修理や顧客サポートも手掛けている
課題
紙やExcelでの情報管理が常態化し、在庫状況の把握や拠点間の情報共有に非効率が生じていた
顧客対応内容を記載している「サービス報告書」の紛失や、手作業による情報伝達ミスも発生
解決策
kintoneとToyokumo kintoneAPPを導入し、報告書や問い合わせ管理をデジタル化
在庫管理や社員の評価ポイントの集計もアプリ上で自動化する仕組みを構築した
効果
月末に8時間かかっていた集計作業が不要になった
サービス書の紛失も0件を達成
問い合わせ対応での情報伝達ミスも撲滅され、業務の大幅な効率化と品質向上を実現
中古OA機器の販売・レンタル事業を展開するマーケティングファクトリー株式会社様では、紙やExcelを中心としたアナログな情報管理が常態化していました。
在庫状況の把握の遅れや、複数拠点間での情報共有の非効率、正確なコスト計算の煩雑さといった課題を抱えていました。
これらの課題を解決すべく、業務のデジタル化と情報一元化を目指してkintoneとToyokumo kintoneAppを導入。顧客への対応内容を記録しているサービス書のペーパーレス化と月末に8時間かかっていた集計作業の撤廃、問い合わせ対応における情報伝達ミスの撲滅など、現場の業務効率は劇的に改善されました。
本記事では、同社の原島 陵氏、上川路 妙氏に導入の経緯から具体的な活用法、そして成功の秘訣まで詳しくお話しを伺いました。
属人化と情報分断が深刻な経営課題に。kintoneとToyokumo kintoneApp導入で目指した「見える化」と「効率化」
マーケティングファクトリー株式会社様は、kintone導入以前、中古OA機器の在庫状況や顧客情報といった重要な情報が複数のツールに散在していました。その結果、組織全体でのリアルタイムな情報共有や、データ分析が困難な状況となっていたそうです。
「特に深刻だったのが、複数拠点に分散したOA機器の修理部品の在庫管理の課題です。
基本的に在庫管理を担当していましたが、拠点が複数箇所に分かれていたこともあり、各現場の在庫数をリアルタイムで把握したり、それらを全員で共有したりすることができていませんでした。
当時、店舗間で他に在庫を担当している者が別の拠点にいる場合、その店舗にどれぐらいの在庫があるかをリアルタイムで確認するには、Excelを送り合う必要がありました。しかし、送り合っている間にも在庫が移動してしまうため、リアルタイムの情報を見ることができず、どんどんタイムラグが生じてしまう状況だったんです。」(上川路氏)
▲kintone導入前に在庫管理で運用していたExcel
このような情報の分断により、正確なコスト計算や利益率の把握が煩雑になり、複合機ごとの修理コストを適切に管理することが、困難な状況となっていました。またそれにより、多くの業務で情報の属人化も進行していました。
さらに、修理部品は高価なものが多く、管理の不備が直接的な損失につながる重要な資産でした。加えて、OA機器の修理を行うサービスマンが出張中にお客様への修理内容などを記録している「サービス書」を車内に置き忘れてしまい、記録をしっかり残せないといった問題も頻繁に発生しており、情報管理の課題は深刻化していました。
▲修理や使用部品といった顧客対応内容を記録している紙のサービス書
kintone有資格者である原島氏が入社したことを機に、これらの課題を解決するためkintoneを導入することになりました。
原島氏は過去に複数社でのkintone導入経験があり、他社製品と比較して工数がかからない点や、一元管理によるフットワークの軽さを評価してkintoneを選択しました。
また、標準機能だけでは対応しきれない複雑な業務要件を満たすため、原島氏が過去導入経験のある「Toyokumo kintoneApp」の採用も同時に決定されました。特に『kMailer』については、kintoneの通知機能だけでは対応しきれないユーザーへの配慮や、従来のメール中心の業務フローとの親和性を考慮し、導入時から重要な役割を担うことが期待されていたとのことです。
在庫管理アプリについては、JavaScriptでの運用が原島氏以外には理解が困難であったため、難易度を下げる目的でToyokumo kintoneAppを活用することになりました。JavaScriptで簡単に実現できる機能はJavaScriptを使い、手の込んだ複雑な機能は『kMailer』や『DataCollect』などのトヨクモ連携サービスを使うという、ケースバイケースでの使い分けを想定しての導入となりました。
システム導入時の現場での受け入れについては段階的なアプローチが功を奏したそうで、現場スタッフからの「こうしたらもっといいよね」という提案を積極的に取り入れながら、徐々に触りながら覚えていくという方法で浸透を図ったとのことです。
kintoneとToyokumo kintoneAppで現場の課題を次々解決!DX推進で得られた劇的な業務改善効果
kintoneと「Toyokumo kintoneApp」の導入は、長年の課題であった情報管理の分断と業務非効率の解消に大きく貢献しました。特に「サービス書」「在庫管理」「問い合わせ管理」といった基幹業務において、現場の負担軽減と業務品質の向上を実現しました。
手書きの報告書から解放。kintoneに入力するだけで、メール送信まで自動化(kMailer)
従来、同社のサービスマンは、客先への訪問時に手書きで顧客対応内容をまとめたサービス書を作成し、それを紙のまま顧客に手渡ししていましたが、kintoneで「サービス書アプリ」を構築し、『kMailer』と連携させたことで、これらの課題は改善されたとのことです。
▲kMailerを活用し、作成したサービス書アプリ
サービス書アプリを制作したことにより、サービスマンは訪問先でタブレットから作業内容をkintoneに入力できるようになりました。アプリ内に入力する顧客情報はルックアップ機能により顧客マスタから自動で取得されるため、住所等の基本情報の手入力が不要になりました。
さらに作業完了後には『kMailer』で顧客へサービス書のメール送信が可能になりました。
またアプリの入力項目には、ログインユーザー名が自動で入力され、報告区分(初回・再訪問)に応じたポイント制が設定されています。
なお、現地の複合機情報については、実際の状況を正確に把握するため、あえて目視確認による手入力としているとのことです。
そして作業完了後、メールでの報告を済ませることで提出完了となり、バックオフィスでは即座にサービスマンの退出時間や作業完了状況を確認できます。この情報により、顧客からの再連絡があった際に、前回の作業完了状況を即座に把握し、適切な対応を取ることが可能になりました。
また使用部品とレンタル機器については、それぞれ専用のテーブルで管理されており、入力と同時に在庫マスターから自動減算される仕組みを構築。これにより、どこからでもリアルタイムでの在庫把握が可能となりました。
「今までは各サービスマンが手書きで、どのお客様のどの機種の複合機を修理し訪問したのか。そして、どういった部品を使って、どのような作業を行ったかということをすべて記録していました。そして、報告はすべてメールか手渡しで行っていたため、ただ手間がかかるだけでなく、どうしても情報共有に時間差が生まれてしまうという課題がありました。このサービス書アプリを導入したおかげで、作業が終わったらすぐにkintone上で確認でき、同じような問題が発生した際に、誰がどのように対応したのかを全員で共有できるようになりました」(上川路氏)
手書きでの作業をシステム化したことで、報告業務のペーパーレス化と、情報共有のスピード向上が実現されました。さらに書類の紛失リスクも無くなり、対応履歴をkintoneで検索・確認できるようになりました。その結果、サービス書の紛失や未報告は0件を達成したとのことです。
月末に8時間発生していた手作業集計から脱却、活動ポイント管理を自動化(DataCollect)
同社では、サービスマンのモチベーション向上を目的として、作業内容に応じた評価を行うためのポイント制度を導入し、それを給与に反映させる仕組みを構築しています。
▲社員の評価制度として使っているポイント集計アプリ
従来はサービス書などを基に、事務スタッフが手作業で集計を行っていました。この作業には毎月8時間程度を要していましたが、kintone上で構築した「在庫管理アプリ」や「サービス書アプリ」「複合機修理アプリ」と『DataCollect』を連携させることで、サービスマンの対応実績が自動的に蓄積されるようになり、ポイント集計作業自体を行う必要がなくなったとのことです。
情報伝達ミスを撲滅、顧客対応の質とスピードを向上(kMailer)
顧客からの電話や、メールでの問い合わせ対応業務においても課題がありました。従来は、問い合わせ内容をメモした後、その情報を担当者がメール本文にコピー&ペーストし、関係者へ共有するという運用でした。しかしこの手作業による情報伝達では、転記ミスや送信先の間違いといった問題が発生していました。
そこで、kintoneで「お問い合わせ管理アプリ」を作成し、『kMailer』と連携させたことで、このような手入力によるミスの発生を防止できるようになりました。
顧客から問い合わせが発生すると、担当者がレコード作成画面で対応内容を記録します。顧客データは顧客マスタからルックアップで呼び出すことで、顧客情報が自動入力されます。またメール送信については、あらかじめ設定した送信グループのアドレスが自動で入力される仕組みとなっており、必要に応じて手動でCCを追加することも可能です。
▲顧客マスタから連絡先や宛先名を取得できるお問い合わせ管理アプリ
さらに、ステータス管理機能を設定し、未完了の案件には未完了ステータスが表示され、完了時にはステータスを変更することで完了管理を行っています。
この仕組みにより、電話やメールで受けた問い合わせ情報はkintoneに集約され、登録と同時に『kMailer』を通じて関係各所の担当者へ自動的かつ正確にメール送信されるようになりました。また、kintone上で顧客マスタや過去のサービス書アプリともデータが紐づけられたため、問い合わせを受けた時点で、担当者は顧客の契約状況や過去の対応履歴などを一覧で確認できるようになったとのことです。
データ活用の深化で経営判断を迅速に。kintoneとToyokumo kintoneAppで目指す次世代の業務基盤
同社は、kintoneとToyokumo kintoneAppの導入により、現場レベルでの業務効率化と情報共有の円滑化を実現しました。
この成功を受けて、同社では他部門への展開も視野に入れており、全社的なDX推進の基盤が整いつつあります。
今後の具体的な展開として、これまで個別のアプリケーションで管理・蓄積してきた情報を連携させ、各複合機に発生しているコストを可視化していきたいとお話しいただきました。
「現在、サービス書と在庫の連携機能をさらに活用したいと考えています。レンタル機器は返却されるものもあれば継続利用されるものもあるため、複雑な管理が必要になります。このような特殊な運用については、トヨクモ様と相談しながら最適な解決策を模索しており、実現できれば業務効率がさらに向上すると期待しています」(原島氏)
このデータ統合の実現により、機器ごとの収益性を正確に分析し、投資判断や価格設定といった戦略的な経営判断を迅速に行える体制の確立を目指しています。
記事公開日:2025年6月13日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります
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